判ってて結婚した。愛せる自信があった。前の奥さんとの子供も。だって前の奥さんは私の親友だ。事故で死んだあと、ずっと彼をみてきた10年ものあいだ。違う、嘘をついてる。私の親友と付き合う前から、彼のことが好きだった。私のほうが先に好きになった。親友には言わなかったけど。だって彼は親友を好きだったから。
好きなひとの好きなひとって、すぐにわかる。
だって彼をずっと見てるでしょ。その彼の視線が親友にいってる。そんなの知ってた。
でも好きで好きで好きで。
毎日泣いてる姿を見てた。手作り弁当が突然カップラーメンになって、それを会議室で一人食べてる姿も、携帯の画面見ながら泣いてるのも。飲み会のたびにお酒も飲まず、ただ顔に笑顔はりつけて座ってた姿も。親友が飲むの好きだったから、それを思い出してたんでしょ。彼女が好きな梅酒を見てた。ぼんやりと。スーツがくたびれて折り目がなくなってテラテラして、それでも仕事してたのは大好きな娘さんが居たから。はっきり好意を伝えて5年。娘さんと付き合って3年。はじめてキスをしてくれたのは8年目。一緒に住み始めたのは10年目。
まさかその年にあなたが事故で死ぬなんてね。
好きで好きで好きで。
20年かけて、やっと手にいれた時に、親友と同じ場所に行ってしまうなんて。
残されたのは、血の繋がらない娘とふたり。ぜったい私が幸せにしてみせる。そう誓った。
でも最近辛い。
娘がどんどん親友に似てくる。そして「大好きなパパが居ない」という。あなたはどうして生きてるの? そしてあの人のことを大好きとまだ言うの? 間違ってる。そんなことは知ってる。でももう彼は居ない。親友もいない。二人は天国で仲良くやってる。頑張ってるねアハハなんて言ってるの? 二人で。
好きで好きで好きで20年追いかけて今何も無い。