「ごめんね…?泣いてる理由、自分でもよくわからないんだけど…」


なるべく声色を平静に保とうとしたのだが

ヒックヒックしてしまう癖がついてしまって

うまく話せない。


「人間ですから、そういうこともあります。愛が入ってきちゃうと特に」


(愛、…ってほどなのかはわからない。たぶんそこまでではない)

(それに、私がそこまで彼のことを愛してるって

思われるのは少し心外だ)


ヒックヒックするのがおさまるまで少し待って

今度は少し落ち着いた感じで話せた。


「きっと、泣けちゃってるのは、

悲しいとか別れたくないっていうより、

こんなに気持ちを入れることができる人に会えてよかったって思えるから。

こんな風になったのって、私はじめてでした。」


「こういうことがあるって知らずに、品行方正に過ごしていくのも幸せかもしれないけれど。

僕もtefeさんとこういうクオリアを共有できたっていうことはよかったです。」


「クオリア…そうですね…」


彼らしい、なんともクールな表現だなぁと思う。


しばし、肩にのせた顔を離すことができずに

肌に触れていた。

左手で、彼の右肩から肘のあたりまでを、

叶うことならずっと撫でていたかった。


こんなに吸い付くような感覚を持てることは、

もう無いんだろうななどと思いながら。