「昔の先輩で、不倫に走った人がいて、そのときはなんてバカなことをするんだろうと思ったの。

その人は独身女性で、

すごく美人で頭も良くて仕事もできて、

当然モテて。

それなのに、

結婚しててお子さんが3人いる

男性の先輩と不倫してました。

その男性がドイツに単身赴任することになったら

そこまで押しかけていってました。

そのせいで周りにも知られちゃって

奥さんにもばれちゃって大変だったみたい。

そんな、明らかに自分が困ることを

どうしてするのか、

当時は全然理解できませんでした。

でも、今は少し分かる気がするんです。」


「うん」


「なんで私、こんな愚かなことしてるんだろう?って思うんだけれど、止められない。

しかも、こんな年下の男に溺れているのが、

なんか悔しい。

でも、年下って思えないんですよね。」


「僕には、年相応の落ち着きもないと思いますよ。」


「惹かれてるのは、落ち着きとかじゃないんです。」


「僕の何にひかれてるの?」


「なんというか、直感、かな」


「そういうの、結局いちばん正しいと思いますよ。」