キスのせいなのか、

セックスそのもののせいなのか

よく分からないけれど

私は意識が飛ぶような快感におそわれて

気が遠くなった気がした。


我に返ると、

2人がくっついて

リズミカルに動き続けている状態で、

彼は私の舌を吸い続け、

唇の粘膜をこすり合わせ続けていた。


私は、彼によってもたらされた快感の波が、

穏やかに全身を駆け巡る感覚を

彼にも伝えたかったのだけれど、

なんと表現すればいいかわからず

「気持ちいい」と言うのが精いっぱいだった。

「なあに? どこが気持ちいの? 唇だけ?」と、

彼は意地悪な質問をしてくる。

…私の身体の全部が気持ちいいの。こんなの初めて…」

 

セックスの最中ずっと

唇の粘膜がとめどなく接触していることで、

不思議な快感が続いていた。


「なんだが食べられてるみたい

「そうだね、食べてるんだよ、甘くおいしく料理して、いまtefeさんを食べてるんだよ」


そういう、歯の浮くようなセリフを聞くと

“やっぱり彼は内向的なオタク青年ではなくて

かなりすじがね入りの遊び人なのだろうか?

それとも、アダルトビデオなどで

そういう表現があるんだろうか?”

そんな思いが脳裏をよぎった。

…でも今はもうそんなことはどうでもいい。

快楽にただ没頭していた。