初めて彼の家に行った時、彼はまだ独身だった。


彼に対して、他の誰に対してもした事がない

激しい性的な妄想をしてしまったのは事実だが

口に出す事でもない。

それに、うまく隠したつもりだった。


そもそも、独身同士じゃないだけでなく

知り合って間もないし

全く同じ職場ではないものの

お互いの人間関係がうっすらとかぶる所もある。

変な噂になるのは絶対に避けたかった。

だから、彼の前では

”常識を重んじる人そのもの“という姿勢を

崩さなかった。


彼の家に初めて入った時、彼は当たり前のようにキスをしてきた。そして、その先に進もうとしてきた。

「さすがに無理です!」と断って彼の家を出た。

既婚者に手を出そうとするとはとんでもないと

憤慨すらした。


その後、彼は反省(?)したのか、

何度か映画や食事などの

爽やかなイベントに誘ってきた。


最大限に警戒しながらも、

彼と時間を過ごしていると

やっぱり趣味や好きな本などに共通点が多く

どんどん惹かれていった。

ある日、映画の誘いの流れのまま

彼の家に上がってしまった。


彼は、警戒心が強い私の警戒を

緩めるくらいに、

爽やかなデートでは

紳士ぽさを最大限発揮していた。

”これなら家に行っても大丈夫かな?

前回はきっと彼も魔が差したんだろう。“

好奇心もあって私は彼の家に行ってしまった。


彼は当たり前のようにキスをせまってきた。

私はとまどいながらも受け入れる。

キスだけでとろけそうになるという感覚。

胸が早鐘のようになる、という言い回しの意味がわかる。


彼は私の上着を脱がせようとした。

その先にすすんでしまうのは想定外だったので、やんわりと拒もうとするが、彼は

「いやだったら断って?僕はすごくしたい。」

いたずらっぽく言いながら脱がせてしまった。


私には、肉体に対する自信が失せてしまっていること、そして、見せられるような下着でもないこと、などなどの様々なとまどいがあった。

まさかセックスする羽目になるとは思わず、

普段用の下着だったのだから。


でも、それは彼にとってはどうでもいいことだったらしい。

最後の一枚を脱がされる直前に、

はっと我にかえった。

口から出た言葉は、「やめてください、帰ります」ではなくて、「シャワー浴びさせてください」だった。

シャワーを浴び、

バスタオルで身体を包んで寝室へ。


「この状況にとまどいがあるんですが

「どうして僕はもうがまんできない。tefeさんが嫌がっても、むりやりしてしまいそうなくらいだよ」


そんなセリフを言われたのは何年振り、いや何十年ぶりだろう、と思いながら、彼に身を任せてしまった。