【初体験】同時刺激でイクまで(13)

私はもうヘロヘロになっていて

何がなんだかわからなくなっていた。

どこまででも続きそうな

別の時空に入り込んだ感じ。

同時に、はやく終わらせて

現実世界に引き戻してほしいような気持ちもあった。

思い残すことはない、と言ったらまた大袈裟かもしれないけれど。


ところが、

私は潮をふいたりイッてしまったり

今までと別次元の感じに驚いたり

めくるめく快感に翻弄されてヘロヘロになっていたが

彼は最小限の動きしかしておらず

まだまだ元気だった。


そして、私がグッタリしているのに

彼は彼の性癖のギアを一段階上げてきた。

(自主規制)

変態としか言いようがない行為なのに

私は嫌悪感を持つどころか

ますます快感の深みに嵌った。

彼は何度か達しそうな感じになっていたが

堪えるような声と顔をして

この時間を長く味わおうとしているようだった。


ただひたすら身体が感じまくっていたことと

12年越しでそんな姿を初めて見せてくれて嬉しかったのとで、

私はこれまで彼に言うのを避けていた言葉を発していた。しかもけっこう真剣なトーンで。


「ねぇ、すごい大好き」

「えっ、この状況で?僕のこんな変態な所を見ても引かないの?」

「変態...!とは思うけど、それも全部好きって思っちゃった。。」


彼は私の顔をじっと見つめて抱きしめた。

それも、すごく優しく愛おしむように。

そして私がとても喜ぶことを

恥ずかしそうに囁いた。


3ヶ所同時の刺激でいかされた後に

彼がさらけ出してきた性癖とプレイは

どう考えても

かなりアブノーマルなもので、

聞いたことも読んだこともない。

なんというジャンルなんだろう...?

とにかく、

愛情あふれるとか、

そういうものとは縁遠い感じだった。


それなのに、私は彼に「大好き」と

まったく脈絡もなく

シチュエーションが噛み合わない中で言ってしまい

彼は彼で、珍しく照れながら私が喜ぶ言葉を

言っていた。


今回のセックスは、心身ともに不思議な新しい感覚で満たされすぎて、鼻血が出そうだった。

アブノーマルなプレイなのに

妙に気持ちが満たされる。

その、新しくて矛盾した、

でも不思議と幸せな感覚に浸ったまま、

抱き合った状態で少し休憩した。


彼のものは入ったままずっとはち切れんばかりに

膨張していて

ちゃんとした休憩にはならなかったが。




私が言った「大好き」というのは

だからずっと一緒にいようとかそういうのではなく

この刹那的な短い時間の中だけでは本心で、

だから言ってもいいかなと思ったのかもしれない。


普段は、“そういうことを言うと今後の関係が

面倒になるリスクがある“とか、いちいち考えて

だからそういう事は言わないでいる。


今回は、理性が吹き飛ぶようなセックスだったせいか

きわめて直情的でシンプルな言動しか

できなくなったのかもしれない。