密会旅行中の写真が送られてくる
帰国後2日目の朝。
朝起きると、かなり早い時間に彼からメッセージが来ていて、しかも旅行中に彼が撮った写真を
google photo上のオンラインアルバムにまとめてくれて、そのリンクを送ってくれていた。
旅行前は、だいたい日本時間のお昼時くらいに連絡が来ることが多かったのに、昨日は朝の5時台、今日は朝の7時台に来ていた。なんだかそこは、今までの暗黙の了解の一線を踏み越えてこられた気がした。
旅行中さらに境界が縮まったと思ったからなのか、トラベラーズハイの余韻なのか、単に何も考えていないのか。。
“やっと写真の整理をすることができました”
そんなメッセージが添えてあった。
やっと、と言っても、まだ帰国して2日目だ。
リンクを開くと、彼が撮った、プロ並みに綺麗な写真がバーっと広がる。ざっと100枚くらいはあるだろうか。
私が薦めたカメラを買って旅行に持ってきた彼。
お揃いのカメラを持って街歩きをしたわけだけれど、彼が撮った写真はどれも彼のカラーで統一されていて、とても綺麗だし彼の世界観で溢れている。ひとつの映画を、コマ撮りしたかのように、色も色彩も本当に統一感がある。
おまけに、どの写真を見ても、その写真が撮られた前後の会話を思い出してしまう。だからこのアルバムを見ていると彼と一緒にいた時の色々が一気に蘇ってきて、胸が締め付けられるような感じがして、ちょっと泣きたくなった。こんな感情がわいてくる相手は、彼しかいない。
旅行中、彼は写真を撮るとほぼ毎回私に見せてくれた。どれも素敵だったけれど、特に数枚の写真はすごく欲しくなって、彼が撮った直後に“後で送ってくださいね”と言っていた。
でも、彼が本当に送ってくれる保証もなかったし、旅行が終わってフェードアウトしていく中で写真が送られてこない可能性もあるだろうな。。と、どこか冷めた気持ちもあった。下手に証拠になるような写真は送らない方がお互いリスク回避になるのだから。
送られてこないならそれならそれで、そこまでの関係だったということで別にいいや、とも思ったので、あくまでサラッと言っただけで、催促などもしていなかった。
それなのに、帰国の2日後に、私が思っていた以上のやり方でアルバムを作って送ってくれた事がすごく嬉しくなった。
“最高に嬉しいです！こんなに綺麗な写真を、しかもこんなにたくさん送ってくれて本当に嬉しい。見てると、それぞれの写真を撮っていた時の会話とかを思い出しちゃって不思議な気持ちになるけど。”
“僕もそうなんだよ。何を話しながら撮ったとか全部覚えてる。映画みたいに再生されちゃうんだよね。”
“私も同じこと思いました！”
ずっとチャットしていたかったけど、日本時間では朝で、色々な支度をしなければいけなかったのでいったんやり取りを終わらせようとした。
“そういえば僕ね、こっちに戻ってきてギックリ腰になっちゃった。”
“え、それは大変！”
“飛行機移動した後に時々なるんだけどね。家具の整理なんかもしてたから。今回は明らかに腰を使いすぎました。”
どういう意味で書いているのか分からなかったので、無難なお見舞いの言葉を送った。