記憶に残るダメなセックス⑦

彼の手を洗わせて

私はさっさと彼の家を出ていくはずだった。

でも彼に色々されてかなり感じてしまったせいか

腰に力が入らず真っ直ぐ立っていられなくなって、

ダイニングテーブルに手をついて体重を預けた。


呼吸を整え、身体を立て直そうとしたはずが、

首をうなだれて自問自答していた。

さっきまでの、“そういう行為をせずに帰らなきゃ”、

という決意が、

いつの間にか脆くも崩れそうだった。


洗面台から戻った彼は

さも当たり前のようにを抱き締めて

再びディープキスをした。


私はキスに応えながら

興奮させられているのに我慢しなきゃいけない感じを

彼にも味合わせようと思って、

無意識的に左の手のひらでの右の太腿から

脚の付け根にかけてわざと官能的に撫で上げた。


興奮させるだけさせて、でも時間が無いから無理、

中途半端はつらいんだという事を分からせようという

魂胆だった。

だから最初から変に刺激しないでよと

伝えたかった。


そのはずだったのに、彼の太腿を意味ありげに

撫で上げた後で

熱く硬く盛り上がっている部分に手を移動させて

ズボンの上から盛り上がりに沿って手を添えると

燃えるように熱くなっていた。


すごい… すごく熱くなってる…」

僕の、入れたくなっちゃった?」

「......」

ねぇ、ちょっとだけしよう?」

今日はダメですよ、私このあと用事があるって言ってるでしょ?」

我慢できるの?すごく反応してあんなに濡れてるのに」

「......」

ねぇ、立ったまますれば大丈夫。最後までしないし、少しだけしよう?」

「…ここで?」


明るい日差しが差し込んでくる部屋の中、

しかも真っ赤なポスターの横では嫌だった。