1か月くらい間があいて彼と食事に行った。
私はその後にも用事があったので、
食事だけのつもりだった。
食事が終わってトイレから戻ってきた彼は、
少し急いでいる様子で、じゃあ行こうか、と言う。
今日はレストラン滞在時間が短いなと思いながらも
コートと会計用のプレートを持って店を出た。
レジで彼が財布を出したが、
ホテル代をいつも彼に出してもらっているので、
私が率先して2人分支払った。
レストランを出て、さてどうしようとなった。
「まだ少し時間あるからどこか行こうか」
「お茶でもします?」
「 うーん、どうしようか」
彼はキョロキョロ周辺を見回していた。
私は、今日は時間も無いから喫茶店くらいなら、と
思ったのだが、
彼はもしかしてホテルに行こうとしているのだろうかと疑った。
すると彼は私に顔を寄せて囁いた。
「うちに来て。最後まではしないでイチャイチャしようよ。」
「 …え?何て言いました?」
「 うちで、やらないでイチャイチャしよう?」
「 …まったく、涼しい顔でよく言えますね。」
私は苦笑いしながらも、
それなら時間的にもちょうどいいや、と、
彼と一緒に彼の家に向かって歩き出した。
「次の用事が3時半からなので、2時半には家を出ますね。」
次は大事な用事だったので最初に言っておいた。
それなら無理強いされる事もないだろう。
彼はアップルウォッチを確認した。
「 いま、もう1時15分かぁ」
「ちょっとお邪魔するだけなので大丈夫ですよ?」
少し距離を開けて歩いた方がいいのかな?と思ったが、彼は私が横に並んでも気にしないようだった。
他愛もない話をしながら彼の家に向かった。
彼の家の近くで、彼は
“ここからは時間差で行こうか"と言って
先に進み始めた。
振り返りざまに、“前と同じ入り口から来てね”、と
念を押された。