イク感覚が育つプロセス⑧

「ねぇ、耳をかんで...?」


彼は舌先を細くして耳の中に入れて

小刻みに舐めてきた。

舐める音が、いやらしく耳の中に響く。


「ううっ...いやっ、音がいやらしい… 」

「普段はおすまししてるのに、こんなことされて気持ちよがる姿のギャップが堪らない。この姿を見てるといじめたくなっちゃうんだよね」


彼は、くっついたまま、

おもむろに私の太腿を左右に大きく開くと、

急に乱暴に突き上げてきた。


ううっ… 本当に無理矢理されてるみたい…」


私は、何度も何度も、快感に身体をくねらせた。


「...本当に悪い人ですよね。ちょっと変態的っていうか。豹変ぶりを見れてなんか嬉しいけど...」


えっ?」


「だって普段は紳士っぽいし、すごく良い人っぽいのに。実はドS。」


ふふっ、そうだよ。」


わたしたち、お互いさまなんじゃないですか...」


私は、珍しく自分から挑発的な事を言って

彼の顔に手のひらを当てた。


ねぇ、耳を噛んで、もっと痛くして?私、痛くされるの好きなの。でもね、相手は誰でもいいってわけではないんです...」


いらやしい水音をたてながら耳を舐め、

ときどきギュッと噛んでくる彼。

鋭い痛みなのに、すごく感じてしまう。

「...っは〜ん...!気持ち良いっ...」

「痛くないの?」

「痛いけど気持ち良いの...もっと痛くして...」


くっついたままの下半身と耳の両方から

いやらしい音が溢れてきて私の気持ちが高まった。


「他の人に、もしこういう事されたら、は?何するの?って思っちゃうと思うんだけど...なぜか今は

何されてもいいっていうか、むしろ痛い事とか酷い事されたいって思っちゃう…」


快感のあまり意識朦朧としていたは、

本当にその時に思っている事をただ口にした。


「嬉しいな。僕の事を好きなんだね。」


?」


それ、言う主体が間違ってませんか?私が言うならわかるけど。自分でそんなこと言います?」


「だって、僕にだったら何されてもいいって

思うんでしょ?それって、僕の事が好きって事なんだよ。」


「 …よく分からないです…」


そういう気持ちに近い感情は、

ここ10年の間に何度も感じた事があったけれど、

お互いの事や将来の事を考えて封印したのだ。


好きとかそういう感情を持ってしまうと

この関係はやるせなさすぎる。

私は彼から顔を逸らして、右上の何もない宙を見た。