25.【囲炉裏の真上】(人から聞いた話)
もうずいぶん昔の事です。
友達とふたりで山小屋に泊まったときの話。
立山の天狗平には,いくつかの山小屋があって,一番北の山小屋に泊まったときのこと。
囲炉裏をはさんで私達と先に到着していた中年のおじさんと3人で話をしていたときのことです。
囲炉裏の灰に何かがぽたっと落ちてきました。
上を見ても何もありません。
と,突然,友達のサー坊が,
「うっ上,上」
と言って指をさします。
しかし,
上には何もありません。
サー坊は
恐怖に
顔を
引きつらせて,
後ろに下がり
板壁にへばりついてしましました。
「よう見てみぃ。首吊りしてる。」
と,
何かがまた,
ぽたぽたと落ちてきた。
上を見上げると・・・
今度はぼんやりと,
しかし,
はっきりと首を吊っている姿が見えたのです。
恨めしそうな顔で,私達を見下ろしています。
3人は,
大急ぎで近くのものだけ持って飛び出し,
隣の山小屋に駆け込みました。
が
その大きな山小屋は
かぎがかかっていたので
3人は軒下で
「今のは幽霊だろうか」
と話し合っていました。
と,
今度は,
玄関からニューッと手が,
そして,
玄関にもたれていた私の腕をつかんだのです。
次回
26.【縄】