15.【おいで】(実話体験談)
むかし,
私が4~5歳のころ,
祖父と縁側で涼んでいたときのことです。
正面のイチョウの木に,
なにやら白いものが手招きしています。
「おじいちゃん。あれ,なに?」
「えっ,うん。なに?どれ?」
私は指を指しました。
「あの木の上の白いもの。」
と,
とたん,
私は金縛りにあいました。
「おれをゆびさしたなぁーーー。
おれをゆびさしたなぁーーー。
おれをゆびさしたなぁーーー。
おれをゆびさしたなぁーーー。
おれをゆびさしたなぁーーー。
・・・」
と,
頭の中で叫び,
白いものが
私におおいかぶさってきました。
そして,
とうとう
私はその白いものに包まれてしまいました。
ささやくような
おぞましい声
が聞こえて
私をどこかへ連れて行こうとします。
ほんの一瞬でした。
「けんちゃん。けんちゃん。どうした?しっかりしなさい。」
という,
祖父の声で
目が見えるようになり,
手足も動くようになり,
全身のしびれも
すうぅっと消えたのでした。
それからは,
イチョウの木のてっぺんを
指さすのが
怖くなったのでした。
次回は
16.【血のついた小刀】
(実話です)