本の紹介です。
『儀軌~取り戻した朝鮮の宝物~』
1922年、朝鮮総督府が強奪した「明成皇后国葬都監儀軌」を2011年、日本宮内庁から取り戻すまでの韓国民間団体による海外文化財返還運動に関する最終報告書
慧 門 著
李素玲 訳
1895年10月8日、朝鮮公使・三浦梧楼と日本人刺客らにより恣行された明成皇后殺害事件。他国の王宮に押し入り、王妃を殺害し、遺体を焼くという世界に類を見ない蛮行いわゆる「閔妃事件」。日本は殺しただけでも足りずに葬儀(国葬)の記録までも略奪していた。さらにそれは宮内庁に「寄贈」されたという。
この事実を突き止めた韓国の若き僧侶ー慧門と有志たちが民族の尊厳を取り戻すため、日本外務省と宮内庁を相手に行った儀軌還収運動の一部始終を記録した報告書。
知らなかった事実が多くあります。
知らないといけない歴史です。
ぜひご一読を。
(以下、朝鮮新報の書評)
「儀軌」の返還実現を喜ぶ
民族史の痛みを治癒
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東国大学校出版部、定価1800円+税、
問い合わせ=コリア・ブックセンター
(℡03-6820-0111)
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「儀軌」の返還実現を心から喜び歓迎してやまない一人として、慧門師をはじめ貢献した各位に満腔の謝意と尊敬を捧げたい。
民族的快挙を達成した返還運動を主導した慧門師の備忘録的著書の「儀軌」は、読者に深い感銘と教訓を与える良書である。越えがたい難関を前にして
も、「還至本処―チェジャリ探し」の仏教思想の信念で突破する慧門師の姿は感動的である。師は韓末の義兵闘争の戦士の写真に鼓舞されたとしているが、返還
運動に全身全霊を捧げている姿は義兵そのものである。
慧門師は文化財返還運動に関連して次のような戒めを述べた。寄贈であれ、返還であれ、物さえ戻ればいいのではないかとの主張に対し、「このような視角は、文化財の有形のみに縛られ、その中に込められている精神を見すごすことになる」と警告する。
つまり文化財には民族の自尊心と歴史の記録が込められており、それを取り戻すことは民族の尊厳を取り戻し、主体的な歴史認識を得ることにつながると
諭しているのである。また、文化財返還運動は「未清算の過去を正す運動として進めるべき」であり、それとともに「民族史の痛みを治癒する」という歴史意識
に徹することを教示している。略奪文化財返還運動を推進する際、心に刻むべき課題として強調しているのである。
私は慧門師の著書で衝撃を受け、同時にわが意を得たりと思った記述部分は、文化財返還を通して天皇の植民地支配の責任を問う部分である。皇室の所蔵
品とされていた「王朝儀軌」の返還によって、「不幸だった過去に対する責任を日本の天皇に問うことがなかったことを間接的に問うこと」になったと返還の意
義を劇的に広げたのである。また、「王朝儀軌」の返還を日本政府に促す韓国国会での決議案採択の際に出された還収委員会の声明書では、「アジア太平洋戦争
責任者である天皇とその皇孫らは自らの誤ちが他の民族にいかに深刻な被害を及ぼしたか今でも再び認識しなければならない」と、天皇の植民地支配責任を問
う。
私は、常日頃から朝鮮からの略奪文化財の最大の所蔵者は皇室ではないかと思っている。返還された北関大捷碑、伊藤博文収集の高麗青磁などは皇室への
献上品として皇室に収蔵されていた。略奪された在日朝鮮文化財の正確な内容と数量の把握のためには、皇室所蔵品の全面公開が不可欠である。皇室所蔵品だっ
た「王朝儀軌」が返還されたことによって、皇室の「秘匿の壁」が崩されることを期待する。(南永昌、朝鮮近代史研究者)
( 朝鮮新報 2012-03-09 14:42:59 )