放射線治療が無事に終わり、
残すは3週間ごとの分子標的治療
のみとなった。
その点滴と点滴の間の3週間に
一時帰国をしたいと思った。
主治医も執刀医も
腫瘍心療内科の先生も皆が、
「故郷に帰ることはとてもいいことです。
自分の根っこにたっぷり肥料と水分を
与えてあげてくださいね」
と送り出してくれた。
私が日本で一番したいことは
鍼治療に通うことであった。
ウィーンで受ける漢方医の鍼治療と
日本の鍼治療は全く違う。
ガンになる前から、一時帰国の際には
いつも鍼治療に通っていた。
鍼灸の治療のみならず、治療中のおしゃべりも
楽しくて鍼灸治療と心療カウンセリングの
セットのようだった。
ガンがわかって真っ先に連絡したのも
この先生だった。
治療中もメールでいつも励ましてくださった。
先生に月経の復活と肩こり、肘の痛み、
そして内臓のケアをお願いした。
2週間半の滞在の間に10回通った。
実家には猫がいないので
自分の部屋でアロマをたいた。
残念ながら体重は増えなかったけれど
母が作ってくれるおいしいご飯を
たくさん食べた。
両親も、ほぼ治療を終えた娘を見て
安心したようだった。
本当はマイクのところで
抗ガン治療後初めてのカットを
してもらおうと思っていた。
でもこの一時帰国の時に、両親が通う
ご近所付き合いのある床屋のおばちゃんに
カットしてもらった。
第1回目の抗ガン治療から9か月で
超ベリーショートにカットができるまで
髪の毛は伸びていた。
このころの写真を見ると、
顔が随分むくんでいる。
眉毛はマロ眉。
まつ毛はごく短くて
ほとんどないに等しい。
一時帰国したからといって
友達に見せたい顔ではないし、
そんな気分ではない。
ゴールデンウィークが終わったころで
紫外線カットのTシャツなどが
たくさん店頭に並んでいた。
ウィーンにもそういうものが
あるのかよくわからない。
日焼けや美白などには
興味のない人たちだから
ないような気がする。
放射線治療の後は胸部に、
日焼け止めクリームを塗るようにと
言われてたけれども
Tシャツでもブロックしようと
いくつか買った。
紫外線カットのTシャツは
夏に大活躍だった。
実家周辺にしか出かけない
のんびりした一時帰国で
精神的にとても充実したものだった。


