自己洞察瞑想療法(SIMT)は、日本で開発されたマインドフルネス療法の一種である。
欧米で開発され亜マインドフルネス心理療法には、弁証法的行動療法、マインドフルネス認知療法、アクセプタンス・コミットメント・セラピー等多数あり。
いずれも、感情や症状、つらい状況などの不快事象をあるがままに観察して受容する心(アクセプタンス)と、そういう不快事象があっても建設的なことに意識を向けて行動する心(マインドフルネス)を向上するトレーニングが中核となっている。

うつ病(非定型うつ病を含む)や不安障害(パニック障害、社交不安障害、心的外傷後ストレス障害=PTSD)、依存症などに効果がみられる。


★自己洞察瞑想療法(SIMT)

自己洞察瞑想療法(SIMT)は、心の観察の実践、自己の心や世界について論理的に説明した西田哲学、心の病気についての脳神経生理学を融合させて、日本で開発されて、20年近く臨床的に用いられてきている。



★価値崩壊の反応様式

何か思い通りにならない出来事が会ったときに、不快な思考を繰り返し、陰性の感情(怒り、不安、嫌悪など)を起こし、こうした不快さを軽くしようとして、根本的な解決にならない行動に移る。
そういう行動は、苦悩の思考の繰り返し、依存になる行為、回避・引きこもり、自傷行為、暴力行為、犯罪行為など(非機能的思考・行動)がある。
根本的解決にはならないので、苦痛の思考を繰り返して、脳神経生理学的な反応をもたらして心の病気になる。

うつ病の場合には不快な感情によって、ストレスホルモンが分泌されて、脳神経の機能を傷つけると推測されている。
不安障害の場合には、扁桃体の不安感上の強い事や前頭前野の抑制機能の低下のために社会的な行動を回避(電車に乗れない、集団の中にいられないなど)してしまう。

心の病気になると、症状が辛いうえに、頭脳が回転しないために仕事が出来なかったり、他者とのコミニュケーションが難しくなったりする。
不快な身体症状もあることが多くて、こうした状況を苦悩する思考、不快な感情、非機能的行動が繰り返される。

心の病気は薬物療法で治る人もいるが、薬物療法で治らない場合でも、自己洞察瞑想療法で治る人もいる。




■うつ病、燃え尽き予防のマインドフルネス実践■


【洞察実践①】ゆっくり呼吸法:細くゆっくり息を吐き、吸うのは自然に素早く吸う方法。ゆっくり呼吸を行いながら、以下の自己洞察法を行う。

【洞察実践②】自然の呼吸観察法:自然の呼吸を観察する方法。呼吸を観察しながら、以下の自己洞察を行う。

【洞察実践③】包んで映す:見えるもの、音も、考えられた思考内容も不快な事も心(の場所)に包まれていて、意識の野(心のスクリーンのよう)に反映されている。  心は全てのものを映す「鏡」で、心は意識されるものを受け入れている。包み込んでいる「器」「海」


【洞察実践④】思考のチェック:今、考えているか、考えていないのチェックを毎日、何回か行う。

【洞察実践⑤】感覚・運動傾注法:今の春寒の候道中の感覚に意識を集中する。解決のない悩み、無用の事を考えていない。毎日、何回か行う。


【洞察実践⑮】思考の観察と解放(意志作用):毎日1回、わざわざ、思考(直前の食事の事)作用を起こして、それを放す(止める、注意を他のものに転じる)トレーニングを行う。


【洞察実践⑰】考えられた自己は真の自己ではない:自分そのもの、自分の存在全体について嫌悪、否定する思考がある。自己嫌悪、無価値観、低い自己評価、「死ぬ事しかない」など。
そんな風に考えられた「自分」は思考作用の対象、精神現象の一番表面。本当の自分は、思考している奥に(包む場所のように)ある。 自己存在について嫌悪、否定の考えが浮かんだら、考えが出たことを観察して中断して、勝ち現実の行動を選択する。


【洞察実践⑲】小さな不快事象の受容:嫌な事が起きたら、すぐに衝動的な反応せずに、何が意識されているか名前(考え、感覚、感情、身体反応など)をつける。いつもの態度、行動(まぎらわす、衝動的)が出たのを観察するが、しれをしれず、価値現実の行動を選択する。



【洞察を深める③】種々の心理現象の観察:次々と移りゆく「今ここ」の瞬間における、自分の心理現象の全てを現実に観察して、名前をつける。   繰り返し観察して違いや前後関係、意識下のストレス反応をしる。


【洞察を深める⑤】感情の連鎖を観察(1時2次3次):会話とか、出来事で感情(1次)が起きた時、自分は行動する。  その行動をした直後に、さらに感情が高まる(2次)。  何時間(翌日、1か月後、1年後)かの後に、思い出して考えて、ネガティブな感情(3次)を起こす。
この思い出し思考・感情(3次)に早く気付いて中断する。


【洞察を深める⑧】自己洞察を入れる(要約法):日常生活の行動中で、何回か「自己洞察」(意志作用)を入れる。 ☆呼吸法の中で自己洞察を入れて、感覚、思考、感情、身体反応、気分、欲求(呼吸法を止めたい、あれをしたい)、行動(呼吸法の実行)などの作用や本音を「今」の瞬間に観察する練習をする。   それと同様の方法で行動に自己洞察を入れる。

1.自己洞察(自分の心の点検、洞察)の意思を起こす
2.考えている、考えていないのに観察をする
3.心の観察をしようという意思を起こす
4.心にあるものにきづく
5.呼吸、見る、聞く、考え、感情、身体反応、症状、衝動的欲求、衝動的決意などに気づく
6.内容(対象)と作用を観察して、作用を名前付ける。  観察の時、嫌悪などの評価をせず、おさえつけず、逃げず(本音である)に観察する。
7.先行刺激を観察する。   行動への欲求が起きた時それをしたらどうなるか後続行動の結果を推測する。
8.背後にある本音(嫌悪、回避、執着)を観察して名前をつける。

9.目前の大切なことに意識を向ける。   目前の建設的な(価値現実)行動を選択して実行する。