シアターΧで、『あえて小さな魔笛』。
子どもに向けた本格オペラという企画です。
そういえば、週末には(本間)健太郎さんからのお誘いで、先日お話をさせてもらった青島広志先生による、これまた子どもオペラの。日程合わず、で諦めましたが、う~ん。
しかし夏休みは子どもネタの企画が多いです。
カイの小さなオペラは、チラシを見ての印象で、「子どもたちが本格オペラを歌うもの」かと誤解してしまっていましたが、本物のオペラ歌手が、本格的にドイツ語で歌い、それでも子ども向けに作ったというものでした。
ま、『魔笛』なので、もともとメルヘンチックな子どもの世界の話でもありますし、ちょっと頑張ればグランドでも親子で楽しめるものではあるのですけれど、「あえて」ちいさく、下町の劇場でコンパクトに・・・。
オーケストラピットの位置が桟敷席となって、そこに子どもたちが陣取ります。
演奏はミニマルのトリオながらも、生演奏。本物の生音です。
歌は本格的、しかしそれを紡ぐストーリーとお芝居は、子どもに親しく作っています。
上演も短く1時間半弱。
ガラコンサートのように、モーツアルトの名作アリアを次から次へと楽しめ、その意味では柿実に大人も楽しめる「本格」があります。
楽しい試みでしたが、「あえて」いうなら、問題点を2点。
そのメルヘンの世界に原発問題を取り入れて、ガイガーカウンターを待ちまわる主人公、「髪の毛が抜けて、死ぬ」というようなセリフを作って言及するなら、それなりの覚悟が必要であったのではないかと思いました。
あれはただの付けたし。テーマとして取り入れられたとは言えません。
社会空間としての劇場では、重大な問題は、歌の付けたし程度で扱うものではないと思いました。
もうひとつ、子ども達を数人、舞台の上に上げて出演させているのですが、これは原作に従うもので、グランドオペラでも取り入れられている演出なのですけれども、今回のはひどかった。
立場上、子ども達の芸術体験としての劇場、にかかわってきた自分としては、あれは見ていられませんでした。
つまり、ただのエキストラとしてしかあつかっていないのです。決して演者の邪魔にならないように。。。。
折角出演した子どもたちの顔は死んでいました。
劇場はインタラクティブな空間です。
オペラの世界は違うのだとしても、子どもたちをここで体験させるなら、舞台に上げるなら、それによって演者がさまざまな影響を受ける覚悟が必要だと思います。
それが全く足りず、「邪魔するな」、という大前提のオーラが感じられたのが残念。
さておき、電子音に囲まれて育つ現代っ子にとって、小さな劇場の側側面の板に響き渡る生声は、このうえなく優雅で貴重な体験になったことは間違いなく、意義のあるものだったと思います。