東日本大震災と、それに伴う停電などで報道されない問題のひとつ。

それがセキュリティ関係の問題です。


機械警備や監視カメラ、電気錠や火災警報器すべて電気で動いております。
もちろん、大半の機械には内蔵バッテリーやUPSがございますが、そもそも今回の震災がらみのような長時間の停電を想定しておりません。
また、監視カメラや電気錠ではバッテリーがオプション、もしくは設置業者が考慮していないことも多々ございます。

美和ロック(MIWA)/BAN-ES1型/住宅用電気錠操作盤/BAN-ES1
¥37,905
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例えばこんな電気錠コントローラーは大概内蔵バッテリーはなくオプション扱いです。

そして、バッテリーは意外といい値段します。

そのためにケチってつけないお客様は非常に多いです。


また、以前も書きましたが某リフォーム番組で大手振って

「セキュリティ向上」

と謳っていた製品は


デルカテック ホームセキュリティ 防犯関連機器 追加用ICカードキー KDW-10
¥2,079
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ICカードを使うタイプで、認証部はありましたが肝心の錠前は、外部から操作するキーシリンダがありません。

つまり、通電時解錠型では停電したらロックアウトされて中に入れない、通電時施錠型では停電したら解錠されてしまう。

モーター錠なら停電した時の状態で固定されますが、これまた設定次第で解錠されっぱなしの可能性もありますし、シリンダが外部にでない施工をされると外部からの施解錠方法がありません。

事実、地区停電があった幼稚園でこの事例があり、事前にお客様には停電時の対処方法をお教えしていたのですが…

すっかり忘れてしまっていたようで、近くのガラスを割って侵入したそうです。

MIWA U9AL3M-1 シリンダー-サムターン
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これは外部シリンダ-内部サムターンで停電時にも機械的に施解錠が可能です。

しかし、このAL3Mでも発注の仕方で両側シリンダやサムターンのみ、なんてのも可能になります。


これにより、被災地や停電区域での盗難事案・侵入事案が発生している箇所があるようです。
警備装置その他が働かないわけですから、威嚇効果もなにもないわけです。

私が常々申し上げていますとおり
「警備システムその他は非常時のことを考慮すべき」
であると思います。

特に今回は本来防災機能があるべき役場なども被害を受けてしまうほどの大きな災害でした。

これにより、住民の安否や役場の機能が一切失われてしまっているのも問題のひとつ。

当方で以前あった事例ですが、データ室で出入管理をしたい、という要望があり現調と打ち合わせを行いました。


役場や企業の方は
「安価に」
としかいいません。

数万だせば非常時に短時間とはいえ対処しやすくなる場合もあるのですが、提案しても聞き入れてくれないことが殆どです。


当方では二重三重の非常時対応を考え提案しますが、実際に受け入れていただいたケースは数えるほど。

当社提案から非常時対応をカットされた場合は契約時に免責事項として明記し、引渡し説明や取扱説明書にも明記していますし、引渡し説明同意書に判子を押していただいても理解していない企業様・自治体様も結構あります。


住民基本台帳システムや、自治体の基幹システムがあるにもかかわらず、非常時にどうすべきか、を考えない。

確かにセキュリティ状では停電時施錠型が一番いいわけですが、停電時に内部に人が閉じ込められたり、外部から機械的にあける方法が無いと最悪人命にもかかわる話です。

それを
「金がないから」
と、たった数万程度をケチる自治体様や企業様が多いのです。


以前、某3セクを担当している時も、当社と比較され価格が安い建築業者へ発注されたことがあります。
トラブルが多発しすぎて、結局建築業者も、納品した業者も対応できなくなってしまい私の所におはちが廻ってきたことも。


防犯・セキュリティは安い高いだけでは決めることが出来ませんが、少なくとも非常時に対する業者の考え方をきちんと把握しておかないと、導入してもトラブルばかりと言うこともございます。


危機管理能力がない警備業者が多いのも事実ですが、安いというだけで飛びつくお客様も選んだ責任がございます。

業者の選定は選ぶお客様もきちんと問題点を把握しておく必要がございます。


また、機械警備や遠隔画像監視システムを導入されているお客様で
「警備不能」
とされたところも多いのではないでしょうか?


特に、ISDN,ADSL、光の各電話契約は停電地域で殆ど使えなかったはずです。
これは電話回線やIPを使う警備システムの弱点でもあります。

今回の震災では通信インフラも問題になっております。

安いから、とメタル回線を廃し安価なIP電話やルーターなどを介した電話システムを組むと、停電時にまったく使えなくなります。
もちろん、通常の電話も最近は電話機や複合電話は商用電源がないとつかえないものばかりです。


当方では電池駆動のプッシュ電話を非常用に稼動させており、電話回線が繋がっていたために相手側が電話が使える黒電話などには通話可能でした。

しかしながら、現在では黒電話は殆ど無く、一般家庭や企業様、自治体様は殆ど不通のまま。
折角停電対応機能がある交換機などを使っていても、どれが停電対応なのか一切しらずに使っている自治体様もあり、防災意識の低さを垣間見てしまいました。

漸く落ち着いてきた頃かと思います。
ご自宅や会社、自治体様でも今回の震災と停電で何が問題だったか、一つ一つ検証し余裕があるうちに対応されることをお勧めいたします。

停電してからでは通話テストも出来ないことが殆ど。


金融機関様や一部企業様では通用口の電気錠が古いタイプの「通電時解錠型」になっているところをお見かけいたしますが、停電時に外部から開ける方法が無いのでご注意ください。


今回の福島第一原発の事故。

あれはすべて想定外ということを管理している東京電力から、本来厳しくすべき原子力管理関係者が甘い考えであることが露呈してしまいました。


日本は危機管理意識が希薄です。


「万が一」


という言葉は伊達にあるわけではありません。


完璧、完全、絶対と言うことはまずありえません。

そのための万が一に備え、いろんな方策を施すのが

「知恵」

であり

「英知」

であり

「経験」

です。


「大丈夫でしょう」


という業者の言葉と、


「大丈夫だろう」


というユーザーの甘えは捨て去るべきです。



妥協する場合はきちんとリスク管理をしないと、あとで泣きを見るのはユーザー自身です。