考えた人すごいな【光電式スポット型感知器をバラしてみた】 | 消防設備や防火対象物の点検ならテクニコ株式会社(大阪・東京)

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建物の天井などに設置され火災の煙を感知する煙感知器。

 

十数年前に主流だったイオン化式の煙感知器はアメシウム241という放射性物質の性質を利用して煙を検出していました。

しかし現在ほとんどの建物で利用され、主流になっている光電式の感知器は、光が煙によって反射したり減光したりする性質を利用しています。

 

ツイッターで「煙感知器には放射性物質が使われている」というツイートがあったので、今はあまり見かけ無いんだけどなぁ、なんて思いつつ、なんとなく煙感知器をバラしてみました。

 

 

今回バラすのは光電式スポット型感知器という種類の天井に取り付けるタイプの感知器。

多くの建物で使われているので、職場や学校などの天井を見上げれば上記の写真と同じような形の煙感知器が付いているかもしれません。

 

この光電式スポット型が動作する仕組みについてテクニコのホームページに書いてあるので引用。

感知器の内部には光源と光を検知する受光素子が取り付けられており、受光素子が光を検知すると火災信号を発する。光源は常に発光しているが、光源と受光素子が遮光板によって仕切られている為、通常光源から出た光が受光素子に届く事はない。
しかし煙が感知器内に入って来ると、煙が光源の光を乱反射する事で光が受光素子に届き、作動する仕組みになっている。

我ながらよく解らないので、なにはともあれ解体してみましょう。

 

 

上の写真はベースから取り外した状態の煙感知器。

右の写真はその裏面です。パナソニック製の光電式スポット型感知器と書いてありますね。

それではとりあえずカバーを外してみましょう。

 

 

これが煙を検知する検知部になります。

黒いカバーの側面が網目状になっているのがわかるでしょうか?

煙感知器は検知部の内部に煙が入る事で発報する(火災信号を発する)ので、煙が入る為の隙間から小さな虫などが内部に入ってこれないように防虫網が付けられています。

ちなみに虫が入ると誤報の原因となってしまいます。

 

次は基盤と防虫網を取り外していきます。

 

 

防虫網を外すといよいよ検知部の本丸(右写真)が確認できました。

さて検知部内部を真上(真下と言った方がいいのか)から見てみましょう。

 

 

周りを取り囲むように複数のギザギザの壁が付いており、内部にはランプのような物も付いていますね。

意外とシンプルな作りだと思われたのではないでしょうか?

 

上の図を見ていただくと投光部からは常に光が発生していますが、投光部〜受光素子の間は白枠で囲まれた遮光板によって遮られており、受光素子に光源の光が届かないのがお分かりでしょうか。

光電式スポット型感知器の内部は平常時常に上図の状態になっています。

ここに火災の煙が入り込んでくると光が乱反射し散乱光を発生させます。

 

乱反射と言っても煙で反射する光の量は微々たるものですので、集光レンズで受光素子に集めてやります。

またハウジングの外側を1周するように付いているギザギザの壁は遮光壁といい外部の光を遮る為の機構です。

 

今まで説明させてもらったとおり、光電式スポット型感知器の構造上、日光や部屋の光が感知器の内部に入ってしまっては困ります。

そこで上図のような形状の壁をハウジングの外縁に設け、部屋の明かりや日光などの外光はハウジング内部に入ってこれないようにしつつ、煙は問題なく入ってこれるような構造になっているのです。

 

さて、解りにくくはありませんでしたか?

光電式スポット型の仕組みって、シンプルだけど光と煙の特性を上手く利用した製品だと改めて感じました。

考えた人ホントすごいな。