花はどこへいった | フリー・ライターの映画鑑賞日記

花はどこへいった

作品名  :花はどこへいった(2008日)
上映時間 :71分
公式サイト:http://www.cine.co.jp/hana-doko/
監督   :坂田雅子
出演   :グレッグ・デイビス、フィリップ・ジョーンズ=グリフィス、
      グエン・ティ・ゴック・フォン博士
劇場   :岩波ホール 2008/06/14(土)~07/04(金)まで3週間限定上映
      全国順次公開
満足度  :7/10


■ストーリー■

2003年、フォトジャーナリストだった夫のグレッグ・デイビスを肝臓がんで亡
くした妻の坂田雅子は、米軍兵士としてベトナム戦争に送られた過去を持つ夫
の死は、枯葉剤が原因ではないかと友人から聞かされる。ドキュメンタリー映
画制作の基礎を学んだ坂田は自らカメラを手にベトナムとアメリカに渡り、取
材を行なう決意をする(引用:シネマトゥディ)


■感想■

坂田雅子の初監督作品。


冒頭のナレーションで、監督の夫で元ベトナム帰還米兵グレッグ・デイビス
が、入院約2週間で肝臓癌により突然この世を去った事、その事実を受け止め
ることが出来ない心情から物語が始まる。


夫の死をキッカケに、監督はこれまで掘り下げることもなく、また話題にも出
なかった結婚前に言われていたある言葉を思い出す・・・・。。


「ベトナム戦争時代に枯葉剤を浴びているから自分は子供を持つことがで

きない」


枯葉剤に対する疑問、更には夫への追悼から監督が、ベトナムの現在の状況と
姿を追った本ドキュメンタリーの撮影、取材への決意と行動に繋がっている。

多くの人が「枯葉剤」を耳にしたことはあると思いますが、その被害者の姿を
実際に目にした人はいないのではないでしょうか?

映像と通じて被害者の姿を目にすると、被害の大きさ、酷さ、惨さの惨状と共
に枯葉剤に含まれているダイオキシンの怖さ、言葉も出ない程の衝撃を受けま
す。


「枯葉剤」を使用したアメリカの態度、責任については、実際に作品を見て確
認して下さい。


今更、戦争の悲惨さは語るまでもないですが、戦後30年も経た枯葉剤が未だに
ベトナムの人々と大地を蝕み続けている現実を目にすると、改めて戦争や紛争
のない世の中が1日でも早く訪れて欲しいと感じます。


唯一の救いだったのは、ベトナムの国民性なのか、枯葉剤の影響を受けて奇形
や障害を持った子供でも両親、家族が現実を受け入れて一生懸命になって育て
る姿に希望を感じることが出来ました。


ドキュメンタリーなため全編通じて淡々としていますが、ベトナムの本当の現
実と実情から戦争、紛争の怖さと悲惨さ改めて感じる作品で、少しでも多くの
人に見て貰いたいと思います。