ビル・グロース氏が引退、PIMCOで「債券王」として君臨
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)でかつて数十年にわたり「債券王」として君臨したビル・グロース氏が、現役を引退する。グロース氏は自身が共同創業したPIMCOを4年余り前に飛び出し、ジャナス・ヘンダーソンに移っていた。
グロース氏(74)は4日、「40年以上にわたった自分のキャリアでは、素晴らしい経験をした。常に顧客の利益を第一に考えようと努めながら、債券のアクティブ運用を考案し、それをさらに革新させてきた」と発表。「2つの会社には礼を言うべき多くの友人や仲間がいる。共通の利益を持ってともに働いたチームがなければ、何も成し遂げられなかった」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PMEM6U6VDKHT01
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
投資をしている人の間では知らない人はいないであろう、「債券王」ビル・グロ―ス氏が引退を発表しました。
74歳。時代が変わるんだなと感します。
大言壮語やポジショントークの多い業界において、常に冷静で思慮深く、とても尊敬できる方でした。
最後のInvestment Outlookは”Killing Each Other”
https://en-us.janushenderson.com/advisor/bill-gross-investment-outlook-killing-each-other-0318/
人間や社会の本質に触れながら、マーケットの現状を説明しています。
平穏で穏やかなゴルディーロックスの中、人々はリスクを取り続け、いつか取りすぎてしまう。
そして誰もリスクを取れなくなった頃、それは崩壊する。
"stability leads to instability"
それは人間やマーケットの本質だということです。
中央銀行はマーケットに秩序を与えようとする。
急激な変化は好まない。穏やかに経済を運行しようとする。
今回、FRBは量的緩和により、市場に十分すぎる資金を供給しました。
一方でバブルが起こらぬよう金融規制を強め、あらゆる抜け道を塞ぎ、過度な投機を行わないよう手を尽くしました。
永遠とも思えるゴルディーロックス。
これで一体どうやったら金融危機が起こるんだ?
そんな完璧とも思える仕組みを作り、永遠に問題なく穏やかに経済は成長していくかにも思えました。
しかし、"stability leads to instability"
目立った金融危機もないまま、リーマンショック級の変動が、今、目の前で起こっています。
結局はミンスキーの言う通り。
どんなに安定を求めても、市場はやはり崩壊する。
「安定こそが不安定を生み出す源である」のだから。
ビル・グロース氏の言うとおりであれば、トランプ大統領が米中貿易戦争を引き起こさなくても、いずれ市場は崩壊していたということになります。
そして市場を歪めてまで量的緩和を行い、行き過ぎた低金利を十年にわたって引っ張り続け、トランプ減税まで投入してマーケットフレンドリーな政策を行った結果、より大きく崩壊することになります。
technoteも何度も考えたことがあります。
「金融危機は起こってない。このままずっと崩壊しないなんてことがあるんだろうか?」
ビル・グロース氏の説明はおぼろげながらわかりますが、十分には消化できていません。
氏と同様の理解度に到達できる頃には、自分も引退間際かもしれません笑
自分自身、考えていることは以前より進歩しています。
カブロボコンテストで2位になった頃より社会やマーケットに対する理解は深くなり、パフォーマンスも上がりました。
今カブロボを作るなら、別の思考を加えたものになると思います。
パフォーマンスを上げる源泉はなんだろう?
それもずっと考えていましたが、チャートやテクニカルではなく、市場分析や企業分析でもない。
結局は人間や社会に対する理解を深める事が最も重要だと、ようやく気づくようになりました。
自分が引退するまでは、まだまだ時間があります。
どこまで理解を深め、パフォーマンスを上げられるか?
自分でも楽しみです。
ビル・グロースさん、お疲れ様でした。
たくさんの貴重なことを学びました。
ありがとうございました。

