日銀は追加緩和見送り、円高急進し株価は急落
[東京 28日 ロイター] - 日銀は28日の金融政策決定会合で現行のマイナス金利付量的・質的緩和政策の現状維持を決めた。熊本地震で影響を受けた金融機関向けに東日本大震災で導入した低利貸出制度の適用を決めた。
景気や物価は下振れリスクが大きいとして2%の物価目標達成時期を延期したが、追加緩和を見送ったため、急激な円高・株安が進んだ。
http://jp.reuters.com/article/boj-wrapup-idJPKCN0XP18P
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ブルームバーグの記事によって、今回の日銀金融政策決定会合で追加緩和があると見るマーケット関係者は6割を超え、いつにも増して追加緩和への期待が高まっていました。
しかし12時ちょうどくらいに日銀が金融政策の現状維持を発表すると先物は急落。
そして後場は暴落となりました。
今回は参議院選挙を7月に控えて、後方支援のために追加緩和があるのではないかという見方も少なからずありました。
しかし仮に今回、マイナス金利の拡充などの追加緩和が出たとしても、株価は下落したのではないかと思います。
JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「2%の達成時期の見通しは、誰も信じていないので、市場には何のインプリケーションもない。これですらどうかという感じだろう。自分の任期中は無理だと言っているのに近い。黒田緩和の限界論がまた勢いを増すのではないか」と話した。
現状維持が伝わった後の上記コメントが印象的ですね。
市場ではもはやマイルドインフレの実現など誰も信じていません。
もともと効果に疑念のあったリフレーション政策。
一部の人々が強硬に主張したために、2008年の世界金融危機後、日米欧で壮大な社会実験が行われました。
しかしどの国もマイルドインフレなど達成できず、むしろインフレ率の低下を促しただけに終わっています。
マイナス金利導入後はさらにデフレ傾向が強まっていました。
1月の日銀金融政策決定会合ではマイナス金利が導入され、その後2月の急落につながりました。
おそらく今回マイナス金利を拡充する追加緩和をすれば、同様に大きな下落に見舞われていた可能性があります。
黒田さんもおそらく、自分のやっていることが結果が出ないことは気づいています。
ETFを含む追加緩和をやればさすがに株価は上昇するでしょうが、それも3か月は持たないでしょう。
参院選の後方支援をやるなら短期勝負。6月の金融政策決定会合まで温存したのかもしれないなという気がします。
黒田さんも日銀も、効果が出ないことはわかっていても、異次元緩和の御旗を下すわけにはいきません。
間違いを認めれば、この4年間は何だったのかということになります。
為替も株価も4年前に戻るでしょう。
しかし御旗を下さなくても、結果が出なければマーケットはやはり4年前を目指すことになります。
もともとアベノミクスが始まった時から、効果は出ないだろうと思いながらマーケットについていった人は、それなりに多かったのではないかと思います。
このままじり貧なのか、破滅を承知でETFを爆買いするのか。
6月の日銀金融政策決定会合は、日本の将来を決める分岐点になりそうな気がします。

