5/23の大暴落 以来不安定な相場が続いていますが、いったいどこで下げ止まるのか?

今日はちょっとこれを考えてみたいと思います。


今回の上昇は4/4の黒田砲 に遡ります。

3/20の黒田総裁誕生を頂点に、4/3-4/4の日銀金融政策決定会合を見極めたいという思惑から株式相場は下げ始め、4/2に日経平均は11806円の安値をつけます。

ここを基点として、5/23の高値15943円までの値幅は4137円。

値幅の50%戻しの水準は13875円ですが、既にこれは割り込んでしまいました。



分岐点は日経平均13340円と13185円


5/30の日経13556円は安値の重要な候補だったのですが、昨晩のNY市場の下げ方を見ると厳しいかもしれません。

黄金比61.8%戻しは13340円。次はここが目安になると思います。


ここで下げ止まらないようだと、次は三分の二戻しの13185円。

反騰する場合には、ここが最後の砦でしょう。

その後はもう100%戻しの11806円が意識されてしまいます。


黒田砲は全否定されるのか?


このまま基点の11806円を目指すなんてことが果たしてあるのか?

基点の11806円に戻るということは、黒田砲が全否定されるということになります。

少なくともマーケット参加者の合意がそうなっていると。


これはちょっと考えにくいです。

私は量的金融緩和については懐疑的な考えを持っているのですが、その私でも、現時点でマーケット参加者がそのような合意に達するとは思えません。

マネタリーベースをこれから2年で2倍に増やすというその効果を見極めるのには、まだ日が浅すぎます。

いかに株式市場が先見性を持っているとはいえ、アベノミクスの行き着く先について現時点で失敗と確信できるはずはありません。



他に何か起こっているのか?


もっとも、相場というのはあくまでも需給。

売り方と買い方の押し引きですから、他にもっと大きな懸念材料があれば下げていくことも考えられます。


しかし、今のところ大きな懸念材料は見当たりません。

あるとすれば参議院選挙で自民が劣勢となり、ねじれ解消に失敗することくらいですが、でもこれってありえるでしょうか?


橋下大阪市長の発言が物議を醸していますが、自民がねじれ解消に失敗する可能性は、現時点ではほとんど無いと思います。

むしろ衆参ダブル選挙が実現して、好き勝手出来る大勢になる方が、まだ確率が高いように思います。


日本の株式市場は阿鼻叫喚の毎日ですが、他の市場は落ち着いています。

為替市場、商品市場は大して動いていませんし、欧米株式市場はむしろ堅調。

債券市場は荒れていますが、これは金利上昇を見越した動きであり、デフレ解消・景気回復・金利上昇の一連の枠内の動きです。


他市場から見れば、「日本株なにやってんだろ?」「まあずっと上げてきたからな」と不思議な気持ちで見ていることでしょう。

日本株の調整があまりに長引けば他市場に波及することも考えられますが、今のところ日本株の暴落の原因は「ずっと上げてきたこと」以外には何も無いのです。



日本株先物市場の動き


相場は需給ですが、その需給で大きな撹乱要因になっているのが日経平均先物・TOPIX先物市場だと思います。

ここまでの時系列は


5/22 大証がSPAN証拠金を63万円→66万円へ引き上げ

5/23 証券各社が証拠金掛目の大幅引き上げを発表し始める

5/23 後場に入って株価暴落

5/23 引け後、証券各社が顧客に証拠金大幅引き上げを通知開始

5/24 以降、株価乱高下

5/29 株価乱高下により大証がSPAN証拠金を66万円→96万円に引き上げ

5/30 証券各社が証拠金掛け目を変更、顧客に証拠金の変更を通知


5/22の大証のSPAN証拠金引き上げはその前週の株価の急上昇を受けたもので、この影響はそれほどでもありませんでした。

しかし5/23の掛け目引き上げは急激で、SPAN証拠金と合わせると証拠金が一気に2倍となる証券会社もあり、ショッキングな内容でした。

実際の証拠金は「大証が決めるSPAN証拠金」×「証券会社が決める証拠金掛け目」となるのですが、この「証券会社が決める証拠金掛け目」を1.0倍から2.0倍近くまで引き上げる証券会社もありました。


この急激な引き上げは5/23の後場には既に話題となっていましたが、証券各社が顧客に証拠金の引き上げを伝えたのはおそらく場が引けてからと思われます。

証拠金いっぱいまで建てていた投資家は翌週月曜(5/27)の引けから新証拠金が適用されるため、それまでに建て玉を縮小する必要に迫られてその後も売りが連鎖したものと思われます。

このような先物の動きがどの程度相場の暴落に寄与したのかはわかりませんが、タイミングから見て、影響は小さくなかったのではないかと思います。


株価の乱高下を受けて5/30の証拠金改定はさらに大きくなることも予想されましたが、小幅な引き上げにとどまった証券会社が多かった模様です。



6/3夜間の先物の仕掛けに注意


6/3の引けから、96万円のSPAN証拠金に基づく新証拠金が適用されます。

掛け目は各社まちまちですが、66万円→96万円の引き上げは大きいです。

5/23の暴落が一番大きかったため、次週のSPAN証拠金が96万円からさらに引き上げられるかどうかはわかりません。

この状況をどう利用するか。


最も効率の良い仕掛け方はおそらく、6/3の引け値をなるべく低い位置に抑え、96万円のSPAN証拠金を適用させる。

そうすると追証を抱えた買い方は、6/3夜間以降投売りせざるを得なくなる。

それを買い進めていけば、投売りしてしまった投資家は96万円のSPAN証拠金がネックとなって買戻しが出来ないため、利益を独占できる。


大きな資力を持った買い方なら、そう判断するかも知れません。

6/3夜間以降に大きな仕掛けが入った場合には、売り方は警戒しておいたほうがよさそうです。



早期反騰か?バブル崩壊か?


一方、半値戻しでも下げ止まらなかったことを考えれば、このままバブル崩壊となってしまう可能性は十分に高いです。

しかし情緒的な判断からは、そうは思えません。


technoteはトレードシステムの開発者ですが、テクニカルと同様に情緒的判断も重視しています。

プログラム売買がシェアを席巻するような状態であれば別ですが、市場はまだまだ情緒を持った人間の売買が交錯する場だからです。


そのような多くの市場参加者が現時点でアベノミクスを失敗と確信することが出来るかというと、それはまだ早いんじゃないかなと思います。

がけっぷちではありますが、早期反騰しても不思議ではないと思います。


読者登録してね


↓他のブログも探してみる?