(前回の記事→株価ってランダムウォーク?1


アメリカはどうだろう?


さて、前回は日経平均を元に検証していきましたが、他の国ではどうなっているんだろうという疑問が沸きますよね?

そこで今度はNYのS&P500社指数を元に検証してみたいと思います。


日経平均の時と同様に計算すると、1950年以降のS&P500は上昇8411回、下降7377回とやはり偏っています。

上昇確率53%、下降47%と、これも日経平均とほぼ同じ。


上昇と下降が50%ずつの「正規のコイン」を投げたとき、上昇53%下降47%に偏っている「いびつなコイン」を投げたとき、それぞれの確率。

それに対して、実際の騰落の確率はどうなっているのか。

前回の日経平均の時と同様に比較すると、以下のようになります。



technote投資ダイアリー-SP500kakuritu


いかがでしょうか?

アメリカも日本とまったく同じ。


例外無く、実際に連勝もしくは連敗する確率は、コイントスを前提とした確率を常に上回っています。



technote投資ダイアリー-sp500kakuritu2


以前興味があって、もっと長い期間のNYダウ、イギリスFTSE100、ドイツDAXでも同様の検証をしたことがありますが、どれも同じ傾向でした。

つまり国や期間には関係が無く、連続した値動きをしやすいという性質は、株価というものが本来的に持っている性質なのではないかいう気がします。


それにしても最高値を更新し続けているNYとバブルから半分以下になってしまった日本の株が、どちらも上昇確率が53%でほぼ同じというのも面白いですね。

下げ相場というのは確率ではなく、値幅なのかもしれません。


今回利用したS&P500指数の日足データは、先日Yahoo!ファイナンスUSのサイトからダウンロードしたものです。このようなデータが即時に利用できるのはありがたいことです。Yahoo!さんに感謝です。


(どなたか戦前の平均株価の日足時系列データの存在をご存知の方、特に野村徳七翁が「相場は狂せり」と言葉を残した明治40年頃の平均株価の日足データの存在をご存知の方、いらっしゃいましたらご一報ください。研究してみたいです)



なぜ連続した値動きになるのか?


これはわかりません。


ひとつ仮説として思っているのは、未来の株価の確率はコインを投げるときのようなランダムな確率ではなく、尤度 に近い性質を持ってるんじゃないかという気がします。


例えばモンティーホール問題 では、ドアを一枚あけることにより新たな情報が付け加えられ、それによって目の前の確率が変化します。


株価も同様で、例えば野田さんが衆議院を解散したという情報により株価の上昇がスタートし、その後→自民党が勝った→アベノミクス発表→黒田日銀総裁誕生→企業決算好調・・・と次々とカードをあけるように情報が加えられ、状況を確認しながら株価が上がっていく。


コインが表が出るか裏が出るか、現時点では決まっていませんが、モンティーホール問題では商品がどこに入っているか既に決まっています。


明日の株価は未来の出来事なので、尤度とはなじまないのですが、ビッグイベントが起こったとき、未来のあるべき株価水準はある程度(おおざっぱに「かなり上」とか)決まっており、そこに向けてさまざまなニュースを確認しながら推移していく。だからこそ連続した値動きをしやすく、波動を形成するのではないか-そんなイメージを持っています。


次回は検証から少し離れて、使えるテクニカル指標や失敗するテクニカル指標について触れてみたいと思います。


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