先日最先端テクノロジーの展示会へ行きました。
既に企業へ導入されているもの、実証実験の段階
それぞれ現物を見ていよいよ本格始動だなと実感(^^

クラウド、IoT、ビッグデータ、人工知能・・
それぞれを融合させたアイディアが満載でした。
私のブログのテーマですので、少しづつ公開できる範囲を
記事にしていきたいと思います。
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ところでその時に講演をいくつか聴きましたが、中でも
とても興味深い内容がありました。
元オリンピック選手で、今は指導にあたる方のお話です。
テーマは「チームワーク」。

今回のリレーは日本のバトンの正確さが勝利の要因だということを
皆さんもよくご存知だと思います。
そして「アンダーハンドパス」という方法そのものが勝因
と報じられていますが、その方は「その方法が成功すること」
の難しさ、苦労について話されていました。

次回大会では、海外もこの方法を真似する国が出てくるが
日本以外の国は成功の確立はかなり低いだろうと・・

その理由がよく分かる画像があります。アメリカのバトンパスの様子・・
なにか不自然なところがあります。分かりますか?
(今回言葉での説明が難しいので、写真をお借りしました)
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リオでアメリカの選手がバトンを落とした場面ですが
手の出し方でも、視線や表情でもありません。



答えは「ゼッケンが手書き」だということ^^;


オリンピックでは、4年に1度の試合のために勿論全員が
練習を重ねるわけですが、リレーだけは団体競技の中でも
「心」が通じていなければかなり厳しい試合になる競技です。

アメリカでは個々の能力が高いため、それぞれにスポンサー
がつき、別々のコーチがいます。個人主義思考であることや
国土の広さなどから長期間一緒に練習をする時間がないそう。


日本の場合は選抜選手の中から走者を決め、いち早く順を
決めて丁寧に練習を重ねます。本番前のバトン練習をしていたような
ことを繰り返し何年も練習を行いながら、寝起きを共にする事で心の一体感
が生まれます。(万が一の交代選手も同様に練習します)

そうする事で「あの人に必ずバトンを託さなければ」という
強い責任が生まれ、受ける側もその気持ちを汲んで信頼関係
ができていきます。


そしてもう1つは「適材適所」です。第一走者〜アンカー
は全く役割も、心構えも異なります。その走者に向いている
人が必ずいるのです。

例えば足のピッチが長く、タイムの早いケンブリッジ選手の
ような人は全力でカーブを曲がり切ることができません。
対して、桐生選手は比較的小幅でスピードを出せる選手なので
第三走者の役割をきちんと果たせたのです。


話をアメリカに戻しますが、アメリカ選手の場合はスポンサー
などが商品の宣伝として「アンカーを走らせたい」などの
適材適所を配慮しない配置となっているようです。
加えて事前の練習がかなり少ない為、個々で走りきる能力までは
練習できても、肝心のバトンを渡す「心」まで間に合いません。

その様な複雑な背景があり、自国のゼッケンの準備も忘れて
入り口のチェックポイントで「手書き」をさせられる事に
なったのです。女子も同様にゼッケンは手書きでした。結果的に
男女ともバトンを落とすことになってしまいました。

ただバトンを落としただけ、一瞬の事ですがその背景は複雑で
長期的な要因がいくつも重なり「起きるべくして起きた」
出来事であったということがこのお話でよく分かります。


一時間ほどの講話はとても引き込まれるものでした。
そしてこの話はスポーツの世界だけではなく、会社、家族など
全てのことに共通するのだと改めて思いました。

最新テクノロジーの展示会の中で、講演の約半分が人との
繋がりなどをテーマとするものでした。

その話を聞き、やはり人の心までを置いてはいけない。
それは機械のせいではなく個々の思いであるということを
改めて再認識し心洗われる思いでした。