ここ数年、購入はネットを使うケースが増えた。
理由は実販より安い事、重いものも玄関まで持って
きてくれる。しらみつぶしに探しても見つからない
本やCDもすぐに探せるなど・・

ただ、近未来に逆行しているような話だけれど、私は
本来は直接商品を手にとって確かめたいと思っている。
ネット販売では実物を確認するできない事がネックとなり
特に食品類は期待通りではなかった場合も多い。

今いる場所柄、様々な地域の人がPRをする場があったり
百貨店の物産展で地域の食品を買い求める機会がある。
大抵はそれで終わり、案外送料も高いので次に来る時に
買おうかと思う位で終わってしまう。


その中でこの冬、和歌山の農産品を取り扱う社長ご夫婦と出会った。
還暦位の方で二人ともとても穏やかな人だった。

わざわざ出向き店舗スペースも借りるとなるとコストも
かかるということから、会議机に商品を置く簡素な出店
で、地元と同じような手ごろな値段で柑橘類や梅干など
の販売をしておられた。

近年、柑橘類も品種改良が進み沢山の種類もあるうえに
一年中色々な柑橘が食べれるようになってきているが、
全国的にはまだあまり知られていない。今回は「麗紅」という
三品種を掛け合わせたもの。手で皮がむけ、酸味は弱め。
味が濃縮された身で濃くて美味でした^ ^


話を聞くと、普段は地元のスーパーや関西の百貨店に
卸しているが、それでは買う人の顔が見れないから、こうして
たまにPRをしに遠方へ出向くのだそうだ。

一度直接会って買ってもらった人へは名刺を渡し、次からは
電話を直接社長が取って注文を受ける方法をとっている。
「皮が向きやすい品種がいい」「種がないのが」などから
「今旬でおすすめのを任せる」という要望にも地元農家さん
のネットワークで応えられる自信があるのだそう。

何故電話?と尋ねるとやはり「心が通った商売がしたい」
という理由でした。

常連さんは高齢者の方が多くネットが苦手な方が多いのと
以前は楽天などにも出していたが、代金を踏み倒したり
理不尽なクレームをつけるなど心無い購入者も多く悲しい
思いをしたそうで、ネットでの販売はやめたのだそう。

一度でも顔を合わせれば心が通う。そこから大切に育てた
農家さんの思いも一緒に、本当に分かってもらえる人に送り
互いに喜び合いたい「三方よし」の精神そのものと感じる。


未来に向けて、益々ネット販売の割合が増えると思うけれど
ご夫婦のようにリアルとツールをうまく組み合わせる事で
離れていても血の通った商売ができるのではないかと思う。

美味しい恵みを季節ごとに頼んでみよう。電話をして、
お任せしてみよう。まるで昔の祖母の荷物の便りが来るような
温かさを想像しただけで感じてしまう^ ^