今年、東京大宇宙線研究所教授の梶田隆章さんがノーベル物理学賞を
受賞したことで名が知られることとなった「スーパーカミオカンデ」
今日はこのお話を^^

「ニュートリノ」に質量がある事を発見することとなったこの装置。
世界でここだけの施設なんです。

実は、この観測装置は前身の「カミオカンデ」に始まります。
カミオカンデは1983年に完成をしていました。
この装置がある場所は岐阜県神岡鉱山の地下1000mの深さにあります。


まず、なぜ地下深くに作るのかという事ですが、宇宙から降り注ぐ
目に見えない色々なものを計測する為には、できるだけ大気圏内を含む
「余計なもの」まで計測しない環境を作ることが必要でした。

当時、ニュートリノには質量がなく、何でも全て通り抜けるという説があり
それを計測する為に、地下深くに作ることでニュートリノだけを検出
することができる。のがスタートです。


2002年にカミオカンデの10倍の大きさの「スーパーカミオカンデ」
を完成。(カミオカンデは「カムランド」という別施設に改装)
この施設の凄いところは、どちらも研究者たちが作ったという事。
(企業も参画していましたが、取り付けなどは研究者が、そして計測に
重要な光電子増倍管も全て職人の手作り。)

【つくりかた】1991年から4年4ヶ月で完成
①集落の山の中に1000mの穴を掘り進めます。
 ↓
②丈夫な岩盤にダイナマイトで発破をかけ、大きな穴を作ります。
 ↓
③内壁面に特殊なコンクリートで固め、計測部品のケーブル穴を開けます。
 ↓
④約3年ほどかけて手吹きガラスで完成させた11,200本の「光電子増倍管」を
一つ一つ取り付けます。(直径50センチ程の電球のような形をしています)
 ↓
⑤④の管に複数で膨大な量のケーブルを、コンクリートで作った水槽の上の
蓋部分に作った計測器に全てつなげていきます。
 ↓
⑥ろ過装置で作った「超純水」を直径40m、深さ41.4mのコンクリート
プールに徐々に満たし50,000トンまで注入します。で、蓋をして完成~~!

4年間も、ただ黙々と作っていたというのも凄いです。
しかし、稼動後の2001年に光電子増倍管の70%を損失するという大規模な
破損事故が起きてしまいました。水の中なので、1つが破損した衝撃波で
沢山の被害が出ました。2006年までかかり修復を乗り越えて、
今は正常に稼動しています。(梶田さんはこれが一番辛い出来事だったそうです)

ニュートリノは、素粒子「中性レプトン」の名称。中性微子とも言います。
宇宙の成り立ちや様々なものの研究に重要で「無からビッグバンが発生し
宇宙ができ現在も広がっている」という説がありますが、無からは何も
できないでしょう~!という事は誰も証明できませんでした。

このスーパーカミオカンデでは、空側から降るニュートリノの量と比べ
地下から来るニュートリノの量が少ない事が判り、質量がなく何でも
貫通するはずが、地中に通せんぼされて少なく到達した=質量があるじゃん!!
という世紀の大発見に至ったのです。

そこで、ニュートリノが質量がない「無」ではなく質量があると証明
されたことで、今まで学校で習ってきた事が覆されるかもしれません^^

私達には身近に接する事がないこの施設も、髪の毛の研究に利用し
シャンプーなどの開発に企業が利用するなど、案外身近に利用されています。

世界にここだけの凄い施設、毎年夏に神岡鉱山の坑内を巡る
ツアーイベントで見る事ができます。(内部までは見れませんが・・)
ご興味のある方は是非♪^^