俺はこの時期になると心が痛む。
足元に産卵を意識した魚が見えるからだ。
産卵の魚を釣ることは、間違いなく魚を傷つける行為で、心が痛む。
もし万が一、そんな魚を釣ってしまったら、俺はその魚のためにサイズや写真など撮らず
すぐに水の中へ返してあげるようにしている。
この日も心無いネスティアンが雨の中を必死に自己満足のために魚を釣っていた。
誰も釣れていなかったが、明らかに産卵の魚を意識した釣り方で、見ていて心が痛んだ。
自己満足のために平気で生き物を傷つける行為は、テロリストとなんら変わりない。
釣り場についてまず狙ったのは「アフター回復」の魚。
産卵も終えて、回復中の魚だ。
足元の魚は全部無視して、遠投して沖の深場をヘビーダウンショットで狙う。
開始10分でアフター独特のヌンメリしたアタリがロッドの霧雨を伝わり、俺の手に伝わる。
イライラした表情で帰っていくネスティアン・・・。
それをを横目に釣り上げた会心の一匹に思わず笑みがこぼれた。



