初めて釣った魚は、ほぼ二度とめぐり合えない。
だから思い出に残る、今まで出会った魚に対する尊敬と敬意は人付き合いと同等ナリ。
4月19日、朝の3時に名古屋を出発し、琵琶湖の南部へ走る。
朝モヤのなか、缶コーヒーと煙草で湖を眺めながら、今日めぐり合える魚とコンタクト開始。
俺は自然と遊ぶことがとにかく好きだ。
都会では味わうことのできない空気や風が、すべてを忘れさせてくれる。
ただ、不思議なことに「音楽」だけは頭から離れない。
この日は快晴
清々しい風と湖面の生命反応に、自然と心が踊った。
釣り開始してしばらくすると、釣り糸を通じて魚がコンタクトしてきた。。。
竿を立てて様子を聞いてみる・・・。
「・・・」
魚はルアーを口から放したようだ。
実際、魚と遊んでいるつもりが、いつからか「遊ばれてる」と感じることが多い。
これも楽しみの一つなのだが、なんだか腹立たしい・・・。
悔しいと言ったほうが正しいかな。
またしばらくたって、水中に違和感を感じた。
「魚が岸に寄ってきている」と・・・。
ルアーのサイズを上げて、アピールを上げてみる。
「反応なし・・・」
次に、ワームを使って魚にコンタクトを試みる。。。
ルアーチェンジして一投目、釣り糸が真横に走った。
竿を通じて生命反応が伝わってきた。
竿を振り上げフッキングし、魚との駆け引きが始まる。
「デカイかも・・・」
10m沖で魚がジャンプした。
40cmは軽くある・・・。
魚を傷つけないように岸まで引っ張り、下あごを掴み、ガッツポーズ。
この瞬間がたまらない。
自然を言う事きかせた時、それは優越感に浸れる瞬間だ。
昼近くになり、釣り人も増えてきたので、北に移動。
長浜の漁港、釣具屋で情報をきき、ポイントに向かってみる。
ルアーを大遠投して魚の機嫌を伺う。
何投目だろう、釣り糸が水中に絞り込まれた・・・。
今まで経験した事のない生命反応にすべてを忘れ魚との一騎打ちが始まった。
糸を巻けど巻けど吐き出されていく。
リールは逆回転し、完全に主導権は水中にいる「魚」
俺は自然の猛威を感じていた。
15分~20分程だっただろうか、魚との一騎打ちが続き、笑いが込み上げてきた。
「こんな魚、一生に一度かもしれない」
釣り上げた魚の名前は「草魚(ソウギョ)」コイ科の魚で最大2mを超えるものもいるらしい。
体長1m16cm 体高50cm程の見事な魚だった。
手が震えた、心が躍った。
すばらしい時間をくれた魚に別れを告げて見送った。
体中の体力を搾り取られたのは間違いない。
次の日、両腕、両足、腹筋、腰・・・。
すべての間接や筋肉が悲鳴を上げていた。




