この度代表取締役を退任いたしました。

そのため、少々時間が作れるようになりましたので、アカウントだけ作った後、休眠状態だったこのブログをしばらく続けてみたいと思います。

お付き合いいただければ幸いです。

 

 

再開初回は、最近話題のオープンAIのChatGPTについてです。

 

この1か月くらい触ってみているのですが、日本語の文章を作成するという意味でも大変強力なツールであることを実感しています。

ある意味、研修機関にとっては脅威でもあります。

 

しかしながら、その内容はまだまだ、と言える部分もあり、見方を変えるとホッとしています。

どこが優れていて、どこが足りない部分か。

 

そういった視点でもってChatGPTを活用しながら皆様にISO関連情報をお届けしたいと思います。

 

 

 

本日はISO審査員についてです。

ChatGPTにこのような質問を入れていました。

 

 

質問「ISO審査員になるためにはどのようなことが必要か教えてください」

 

 

回答は下記通りでした。

 

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ISO審査員になるには、以下のようなステップが必要です。

 

①     関連する教育や経験を取得する

ISO審査員になるためには、関連する教育や経験が必要です。例えば、ISO規格についての知識を持っていること、品質管理や環境管理に関する経験を持っていることが必要です。また、審査員としてのスキルを身につけるために、ISO 19011の審査員の指導に関するトレーニングを受講することが推奨されます。

 

②     認定されたISO審査員のコースを受講する

ISO審査員になるためには、認定されたISO審査員のコースを受講する必要があります。このコースは、ISOの要件に準拠し、ISOの規定に基づいて運営されているトレーニングプログラムである必要があります。これにより、審査員として必要な知識やスキルを身につけることができます。

 

③     ISO認定機関での経験を積む

ISO審査員になるためには、ISO認定機関での経験を積むことが必要です。ISO審査員としての経験を積むことにより、審査員として必要なスキルを磨くことができます。

 

④     認定プロセスを通過する

ISO審査員になるためには、認定プロセスを通過する必要があります。認定プロセスには、ISO審査員のコースを受講し、ISO認定機関での経験を積んだ上で、書類審査や面接審査、実地審査などが含まれます。これにより、審査員として必要な能力やスキルを確認され、ISO審査員として認定されることができます。

 

以上のステップを踏むことで、ISO審査員になるための準備が整います。

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正直驚きました。ここまで書き記してくれるのかと。

日本語としては全く違和感がありません。

 

 

もしかすると私が書く文章よりもわかりやすいか!? と思うほど。

 

 

Google翻訳でもかなり進化したとはいえ、訳された後の日本語では違和感を覚えることがまだまだ多い中、この文章にはそういった部分を全く感じず、つまりストレスフリーでさっと読んでいけるものでした。

 

文章としての完成度が高い、ということです。

 

しかし、内容としてはやはりどこからこの情報を得たのかな、と言える部分が多々あります。

さすがに弊社の教材としてはこれでは全く使い物になりません。

 

ある意味、よかった、と安堵したわけです。

 

いくつか補記が必要な点を挙げていきましょう。

 

 

 

最初の①の項目内にある、

「ISO 19011の審査員の指導に関するトレーニングを受講することが推奨されます」の部分、間違ってはいないのですが、おそらくこれでは皆さんには伝わらないでしょう。

 

日本においてISOの審査員になるには、JRCA承認、あるいはIRCA認定のISO審査員研修コースというものを受講し、修了するとともに最後に行われる試験に合格することがまず第一歩になります。

 

その審査員研修コースにおいては、学ぶ流れがISO 19011というガイドラインに基づく部分が多々あるということが上記文章の背景にある事実です。

 

 

 

2つ目の②認定されたISO審査員のコースを受講する、についても補足が必要です。

「認定されたISO審査員のコースを受講する必要があります。このコースは、ISOの要件に準拠し、・・・」とあります。

審査員研修コースは上述の通り、認定されたコースということであればIRCA認定コースというものが存在しますが、日本国内で主流なものは、日本の組織であるJRCAが承認したコースです。

認定も承認も一般の方にとっては同義ではあるでしょうが、言葉の使い方にうるさい私たちの業界では、両者の違いは明白です。

審査員研修コースを展開しているどの研修機関であってもその点は正しく運用しているので、日本の情報を的確に捕まえることができているならば、承認あるいは認定されたコース、という言い方になってしかるべきなのです。

 

さて、言葉遊びの続きかもしれませんが、その後に出てくる、「ISOの要件に準拠し・・・」という文言もこれでは残念ながら不親切な回答、というレベルに留まっています。

 

ISOの何に準拠しているのか、ということで考えていくと、あながち間違った表現とは言えないのですが、審査員研修コースは、ISO規格が定める要件、そして審査員評価登録機関が定める要件に基づいて設計開発された研修コースになります。

 

審査員評価登録機関もISOが定めるその機関向けのISO規格に定める要件に基づいて運営管理されるのが基本です。

そのような背景まではさすがにChatGPTでは考慮していないと思えます。

 

 

 

3つ目の③ISO認定機関での経験を積む、についてはさすがに間違っている情報と言わざるを得ません。

 

ここでは何を言いたいのか少々迷いますが、好意的に解釈すれば、審査員補から審査員に昇格するためのプロセスを言っていると思えます。

 

国内ではISOの審査員になる、と言えば、まずは審査員補の資格取得のことを指します。審査員補になるには、審査員研修コースを受け、合格証と業務経験の照明をつけてJRCAに申請をすれば、基本的には資格を得ることができます。ハードルはそれほど高くありません。

 

しかし審査員補はあくまで「補」であって、正式の審査員とはまだ言えません。お金を稼ぐプロフェッショナルレベルの前段階にあります。

 

審査員に昇格すると報酬を得ることができるようになります。

この審査員レベルになることを想定して上記の③の項目の回答がされているとすれば、言葉の使い方がおかしい点を除けば、まあ、理解できます。

 

どこがおかしいかと言えば、「ISO認定機関」の部分になります。

日本では、ISO認定機関と言えば、公益財団法人日本適合性認定協会(通称JAB)のことを指します。

認定機関と言われるところは原則各国1機関のみの存在、ということになっているため、そこで審査経験を積もうと思って役割が違い、無理ということなのです。

 

では正確には何かと言えば、ISO認証機関、あるいはISO審査機関、ということになります。

 

「認証」と「認定」

 

似た言葉で、一般の方にとってはどちらも同じ、という感じだとは思いますが、この用語も私たちの世界では全く意味するところが違うため、使い分けをしっかりしないといけないのです。

 

そしてISOの認証機関は現在日本国内で活動している組織はたくさんあります。

一時期より減りましたが、それでも50機関程度は活動しているでしょう。

 

それぞれに所属の審査員がたくさんいるのです。

だからこそ逆に、審査員になりたい人にとっては、活動できるチャンスがあちこちにある、ということになります。

 

 

 

4番目の④認定プロセスを通過する、は上述の審査員補から審査員の昇格するための要件と考えれば合点がいく部分になります。

 

だんだん専門的な話になってきていますので、詳細は割愛しますね。

 

さて、ここまでChatGPTのISO審査員補になりたい人向けの回答についてみてきましたが、もう一段階、精度が向上すると、かなり有用な情報源になる、というのがまず感じたことです。

 

ただし、あくまでまだ将来の可能性です。

この段階でその出てきた回答を鵜呑みにしてしまうと相当に混乱することになります。

 

 

まだまだ正確な情報はしかるべきところから取得しないとダメ、というのが昨今急に騒がれだした生成AIの実力ではないかと思います。

でも頭の整理をする、文章構成を考える上での下書きとして捉える、ということであれば、すでに相当有効なツールである、と言える、というのが初回の感想です。

 

 

最後になりましたが、審査員になりたいと思われた方はこちらのサイトで正確な情報をつかんでください。

テクノファで作成している文章です。

 

ISO審査員になるための全てがわかります|ISO研修のテクノファ (technofer.co.jp)

 

(了)