夏冬の年2回、現在は東京ビッグサイトで開催されてる同人誌即売会『コミックマーケット』がこの夏で88回目になるそうです
行ってみたいという興味はあるのですが、行ってしまうと人間として何か大事な物を失ってしまいそうで躊躇が先に立ちます
1975年以来88回にも達し、これはもはやサブカルチャーと呼ぶには相応しくない歴史と伝統を兼ね備えつつある様にも思うのです
で、その記念すべき(?)88回目の顔(パンフレットの表紙)に選ばれたのが、80年代に連載され大ヒットした長編マンガ作品の『エリア88』でした
この作品の影響力は凄まじく、下のF-20タイガーシャークという試作機が2~3機くらいしか作られなかった幻の戦闘機でしたが、この作品の主人公が乗っていたおかげで世界中で日本でだけ認知度がズバ抜けて高くなってしまったほどです
この機体は元は無人標的機やミサイル用に(つまり使い捨て)開発された小型ジェットエンジンを搭載するF-5という軽戦闘機を原型にしています
このエンジンは人間が4~5人いれば担げるくらい小型で軽量かつ安価で整備も楽、性能はまあ・・その程度ですが、だからこそ後進国でも扱える手軽さで周辺国の脅威にもならないというコンセプトの、軍事援助するための車で言えば軽トラックのような戦闘機でした
本来は『フリーダムファイター』の名が与えられていましたが、ベトナム戦争でも活躍し小さな虎を意味する『スコシタイガー』の愛称が付けられた事で、その改良機には『タイガーⅡ』の名が冠される事になります(正式にはF11Fタイガーの名を受け継いでいるのかも)
これらの機体はアメリカが同盟国・友好国にばら撒いた事からベストセラー機となり、1980年代にはその後継機需要が巨大なマーケット化しました
元々のメーカーであるノースロップ社はこのF-20(当初はF-5G)を売り込もうとします
F-5と同系列の機体なのでパイロットが苦労なく乗り継げるのが最大の売りでしたが、性能云々より政治力の差でF-16ファルコンに需要の全てを奪われてしまいます(しかもノースロップは米空軍のF-15の補助機導入計画でも設計したYF-17コブラがYF-16に敗れていて2連敗)
( ・ω・) 「F-16より安くて高性能で良い戦闘機だったのに」
起死回生を図り韓国空軍に生産ラインごと売り込みを掛けましたが、こちらもF-16に敗れて万事休すとなりました
韓国もこの時F-20を選んでいれば、入手できた生産ラインから技術を身に付けて戦闘機の自国開発のみならず工業の発展にも寄与した筈ですが、安直にF-16を選んだために未だに練習機すら独自開発できずにいます
同じくF-20の採用を見送った台湾が1989年にはF-16のダウングレード版とも言えるF-CK-1『経国』戦闘機を開発できたのに比べ、韓国は20年遅れでやっと同クラスの練習機TA-50を作れるようになったのです(と言っても両機とも原型のF-16を開発したアメリカのメーカーが実質的に設計を担当しているので、オリジナルでもなければ独自開発でもなく、アメリカの許可がなければ他国に輸出もできない)
日本の戦闘機ファンはF-20を採用しなかった韓国を1980年代から恨んでたものです
そのくらい“日本でだけ”人気のあったF-20が大活躍するエリア88は、ビデオソフトが普及する前の時代として『イメージアルバム』なる楽曲集のレコードまで発売されていました
この曲で始まる1984年発売のエリア88イメージアルバムは、人気作品だったせいか結構力を入れて作られていました
この曲でもトランペットを始めとするブラスの音色が印象的ですが、当時人気だったミュージシャンの『スペクトラム』の新田一郎が起用されていました
wikiを見るとキャンディーズのバックバンドや、新人だったサザンオールスターズの楽曲を担当していたとあります
こういうのが流行ってた時代だったようです
どっかで聞いた事があると思ったら往年のプロレスのスター選手スタン・ハンセンの入場曲だそうです
この動画ではやってませんが、トランペットのカーブの部分に指を掛けてクルクル回すパファーマンスをやる人達って記憶がかすかにあります
今回の話はこの人達ではなく、同じアルバムで2曲歌っている『竹中ゆかり』という女性シンガーを掘り下げたいと思うのです
( ・ω・) 「相変わらず前置きが長げーよ」
エリア88 コミックイメージアルバム 「memory of you」竹中ゆかり名義 1984年
エリア88 コミックイメージアルバム 「good luck!!」竹中ゆかり名義 1984年
この人はおそらく『椎名恵』だと考えられています
特徴的な声の感じなんかそっくりなので、まず間違いはないかと
1981年にヤマハ主催の新人発掘イベント「ヤマハポピュラーソングコンテスト」通称ポプコンで入賞より下の川上賞なるものを受賞して音楽界入りという事になります(ちなみにこの年の大賞はアラジンの「完全無欠のロックンローラー」でした。興味があったらggって聞いてみて下さい。多分がっかりします)
椎名恵としてはこの1986年の「今夜はAngel」がデビュー曲となるらしく、その2年前に竹中ゆかり名義で漫画作品のイメージアルバムに参加した背景についてはggってもよく分かりませんでした
おそらくはデビュー前の修行の一環として名前を出さない、権利買い取りの仕事だったのだと思います
そのせいか竹中ゆかり名義のこの二曲は椎名恵の作品リストに加えられていません
キャラクターの名前を連呼するような類のアニソンではなく、このキャリアが黒歴史になってしまうような曲ではないと思いますし、現在でもファンの多い曲なので埋もれてしまうのは残念でなりません
大映ドラマ「ヤヌスの鏡」主題歌「今夜はAngel」1986年
米映画「streets of fire」主題歌「Tonight Is What It Means To Be Young」(1984年)のカバーソング
ちなみオリジナルはこんな感じ
愛らしい顔立ちに似合わず、随分パンチのある歌声です
このヒロイン役は当時の清純派女優の代表格だったダイアン・レインですが、実は本人は唄っておらず実力派女性歌手の歌声を何人分かサンプリングした物が使われてるそうです
この映画の世界観を取り入れたのがカプコンのビデオゲーム『ファイナルファイト』で、それ以前に作られ好評を博していた『ストリートファイター』の続編的な位置付けで作られ、両作品の長所を併せるような形で『ストリートファイターⅡ』へと繋がり、現在に至るまで続編が作り続けられる世界的なヒット作品になるのでした
ダイアン・レインは巨匠フランシス・コッポラのお気に入りの女優であり、1979年のデビュー作「リトルロマンス」から84年の「コットンクラブ」「ストリートオブファイア」までは順調にキャリアを積んでいきましたが、ここで失速しヒット作にも恵まれなくなってしまいました
そのせいか、1986~92年には“なぜか”日本のTVCMに出まくったり、日本映画にも出演してました
銀座ジュエリーマキのCMでバックで歌ってるのが椎名恵のようですね(おそらく「たぶん彼女も水の星座」1987年)
ちなみにデーモン閣下もカバーされています
大映ドラマ「花嫁衣裳は誰が着る」主題歌「愛は眠らない」1986年
こちらも有名なオリビア・ニュートンジョンの「そよ風の誘惑(Have You Never Been Mellow)」のカバー曲です
TVドラマ「おんな風林火山」主題歌「LOVE IS ALL ~愛を聴かせて~」(1986年)、
シャーリーン「愛はかげろうのように -I've Never Been to Me-」
大映ドラマ「このこ誰の子」主題歌「悲しみは続かない」1986年
「Good Girls Go to Heaven(Bad Girls Go Everywhere)」ミートローフ
と、まるでカバー曲専門の歌手の様になってしまいます
そういう売り方で、というのがレコード会社の戦略だったのでしょう
80年代前半と言えば『花の82年組』(松本伊代、堀ちえみ、三田寛子、小泉今日子、石川秀美、早見優、中森明菜、伊藤さやか、つちやかおり等々)を始め、今も別の形で生き残ってるアイドルの黄金時代でした
逆に80年代後半は秋元康の『おニャン子クラブ』が芸能界を席巻するようになり、単に歌が上手いだけのいわゆる『実力派歌手』には辛い時代でした
この後にガンダム作品の主題歌を唄う事になり、私辺りの世代はようやく椎名恵の名前を意識するようになるのでした
機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争 OP「いつか空に届いて」 1989年
機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争 ED「遠い記憶」 1989年
0080、通称ポケ戦はビデオソフト用に作られた初のオリジナルストーリーのガンダム作品であり、日本では1983年にセル専用のオリジナルビデオアニメ(OVA)作品である「ダロス」が作られて以来、レンタルビデオの普及と共に1985~6年頃から増えてきたOVA作品のひとつでした
ストーリー的には1年戦争末期、本編の主人公であるアムロ・レイがニュータイプとしての能力を発現して行くと共に力不足が明らかになってきたRX-78ガンダムの後継機としてニュータイプ専用機として開発されたRX-78NT-1アレックスのトライアルと、この機体がアムロに渡る事を防ぐ為に破壊を目指す特殊部隊との戦闘を描きます
作戦の直前に特殊部隊に配属された新兵の“バーニィ”とNT-1のテストパイロット“クリス”が敵同士である事を知らずに出会い、仄かに生まれる恋心とは別に最後には戦闘でころしあうという悲劇です
舞台となる宇宙都市サイド1は両勢力に与しない中立都市の筈ですが、連邦軍はそれを隠れ蓑に新兵器の開発を続けており、敵対するジオン公国軍は送り込んだ特殊部隊が任務に失敗した時に備えて、条約違反の核兵器を使いコロニーごと破壊してでもNT-1の実戦化を防ごうとしています
と言ってもNT-1自体はそんな大した性能でもないんですが
両勢力がルール違反を行っており、どちらにも正義がないまま戦場でころし合うのは若者のみという、何ともやるせない設定で現在3~40代のガンダムファン達にトラウマを植え付けました
バーニィはサイド1に取り残されてしまい、そこで知り合った民間人で戦争への憧れをもつ少年アルを通じてクリスと出会い、このスペースコロニーを核攻撃に曝さない為にたった1人で量産機に過ぎないザクを駆ってNT-1を破壊しようと決死の覚悟で戦いに臨むのです
こちらは1989年にVHSで発売されていた本作が99年にDVDで再発売された時のCMや付属の特典を元に作られたMADです
最後の方で出てくる成長したアル役の声を当ててるのは、当時12歳でアルを演じていた子役に依頼してるんだとか
ちなみにもう一つの方の予告編は『機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー』で、こっちも新型ガンダムの試験中に敵軍の残党に奪われてしまい、それを取り返すために追撃戦を繰り広げるというストーリーですが、何か主人公は最後に軍法会議に掛けられて刑務所送りにされてしまうと云うやりきれない作品です
これ以降はレコード会社の移籍もあってタイアップとなる様な楽曲もなくなりますが、現在でも歌手としての活動は続けていらっしゃるようです
http://megumi-shiina.com/“椎名恵 official web site”
( ・ω・) 「アニソン、特にガンダムに関わると(セールス的にも)それが代表曲になっちゃう場合が多いので、後々複雑な想いをする人が少なく無いようです」