最近、中国経済絶好調とか経済成長著しい中国というキーワードを聞かなくなったと思いませんか?
中国経済はバブル、北京五輪が終われば崩壊、上海万博が終われば…等という半ばやっかみ的願望に近い憶測が囁かれていたものですが、今年に入ってGDP世界第2位の地位を日本から奪い堂々たる経済大国としてアメリカとの二極時代が到来したかのように語られていた物でした
しかし遂にというか、中国経済の成長は行き詰りを見せているようです
経済というものは好景気とか言った時には既に景気は頂点を越え下り坂に差しかかってる事が多く、退潮期が囁かれ出した時には既に崩壊は始まっている事が多いのです
後になって見なければ分からないとも言えますが、それでは経済学者とかアナリストという存在は地震が起きてから実は私は予言をしていたとか言うインチキ預言者と変わり無いでしょう
これにはもう一つカラクリがありそうです
経済とはお金の移動に過ぎず、10を5:5に分割することはできても10を7:6にする錬金術の様なことはありえません
誰かが得をすれば誰かが損をしているのは当然で、ババ抜きの様にJokerを押し付け合い一抜けした者が勝者となり、最後にJokerを持つ者が敗者となる単純なことなのです
つまり専門家は彼ら自身がそのプレイヤーであり、もしくはプレイヤーに飼い馴らされた犬なので自分達に有利な情報をタダでくれたりする筈がありません
逆にプレイヤーなら周囲には嘘の情報を流してJokerを引かせようとするものでしょう
「今中国株が狙い目」「中国に投資して儲けよう」
彼らが何を企んでいるか一目瞭然ですね
日本のバブル景気は1985年の円高容認を求められたプラザ合意の後、不健全な不動産投資が過熱した(急激な円高対策として講じられた低金利政策によってダブついた資金が運用先を求めて不動産に集中した)1986年から91年2月まで続きました(この間87年にはブラックマンデーと呼ばれる世界規模での経済危機に見舞われていましたが、日本への影響は無いに等しく1人勝ち状態でした)
その3か月前の90年末の流行語大賞に「バブル」が選ばれた直後に崩壊が始まったことになります
始まったというより、実感として景気に急ブレーキが掛かったのを皆が認識したのがその時期という事になるでしょう
原因としては90年3月に旧大蔵省が金融機関に通達した不動産融資への総量規制が挙げられます
実体を伴わないバブリーな好景気が暴発によって収拾がつかなくなる前に、人工的に制御しようという考え方だったのですが、市場は過敏に反応し却って収拾のつかない崩壊を引き起こしてしまったのでした
消費者物価指数や株価、土地価格といった点で影響が出て好景気が終わったのは91年初頭でしたが、実体経済に悪影響が出だしたのは93~4年頃からであり日本はそこから失われた10年と言われる長い不況のトンネルに突入していったのです
この平成不況(机上の計算では91~01年頃)は21世紀の幕開けと共に終わったと言われていますが、実感が伴わなかった事で企業が新規採用や設備投資を抑制したり、2000年の工場などへの派遣解禁いわゆる小泉改革によって所得が伸びず内需が回復しなかった事から実感としての不況は今日に至るまで続き、失われた10年は20年と訂正され現在も尚絶賛継続中です
こうした人件費の抑制によって社会は不況感に包まれていたのに対し、大企業は軒並み最高収益を上げていましたが不況に備えると称して労働者への還元を行わなかった事がさらに景気への悪影響を及ぼしました
今の視点で見れば総量規制も小泉改革も失敗だったと言えるでしょうが、万能の薬というような最善の策を誰も持っていなかった以上、セカンドベストとして取り得る最上の策だったとも言えるでしょう
しかし企業が人件費を抑える事で収益を上げる禁断の果実に手を出したのは明らかな失敗だったでしょう
この時期から囁かれ出したデフレ不況は、消費者が安物ばかりを求め景気に悪影響を出したというより、人件費の抑制によって購買力を落とした事の方が大きいのです
例えば、年収400万の労働者は収入の殆ど全てを消費に使わざるを得ません
使う先が高級車になるかユニクロになるかの違いでしかなく、お金は動いてるのですから経済への影響は変わりません
しかし企業が最高益を出しているのに内部保留に留めて使わないのは、水を溜池で腐らせているのに等しく経済にとっての悪影響は測り知れません
お金はよく水や血液に例えられますが、それらは動いてこそ清らかでいられるのです(その意味では日本人の貯蓄志向は必ずしも良い作用ばかりはしていません)
この間世界経済はIT産業や投資ブームに沸き、2000年代に入るとアメリカのサブプライムローンやミニマムペイメント、中国の経済発展といった要因により未曾有の好景気に沸き日本が1人負けしている状態でした
しかしサブプライムローン(サブプライム層=中産階級以下の準貧困層にも不動産を買わせようという金融商品。例えばローン開始後5年は金利が安く予算が無くても買い易いようにして6年目からはいきなり金利が上がる方式。不動産の価値は右肩上がりなのだから5年後にはその不動産を売却してもまだ儲けが残りますよと煽った。またはこうしたリスクの高い不動産の債券を証券化して販売したもの)日本のバブル景気以上に不健全な不動産ブームでしたし、ミニマムペイメント(日本で云うリボルビング払いの様なもので、最低額の支払いを月々すればカードの限度額まで使えますと支払い能力を遥かに超えてクレジットカードを発給し続けた。もちろん多くが焦げ付いて大量の破産者と不良債権を産み出した。ちなみに野良犬にまでカードを発行したという韓国が今この状態で、日本が言われていたデフレスパイラルより遥かに危険なスタグフレーションに陥っているといわれてます)はタコが自分の足を食べて満腹だと言ってるようなもので自国経済へのテロ行為だと言っても良かったでしょう
恐ろしい事に中国は投機の為にゴーストタウンを作って、街ごと土地転がしをやってたりします
GDPで日本を上回ったと言っても人口が10倍以上あるのですから、単純に考えて1人当たりの水準は日本の1/10にしか為り得ません
また世界の先進国の人口は合わせて7~8億人程度であり、購買力のあるこの層に物を売って儲けるには中国は人が多すぎるのです
中国の人口13億人(非公式には14億とも15億とも。17億なんて推定もあるほど)を豊かにするには少なくともその10倍、130億人の購買力のある市場が必要になりますがそんなものは存在しません
そして今のところ中国製品の競争力は安くて利鞘の低い物に限定されてますから、中産階級を増やす事は不可能に近いでしょう
また政治的な問題もあります
中産階級は共産党の一党独裁を好ましく思わないでしょうから、中国共産党は豊かになる事と政治的な変革を望まないというジレンマを抱えている事になるのです
今年に入って北京だけで6000社ある不動産業者の内1000社が潰れたと中国メディアが報じました
契約件数でもこの1~2年で比較すると40~60%減少したという事です
これはもはや中国バブル崩壊の予兆などというレベルの話では無いでしょう
ギリシャの財政破たん(すでに実質的にデフォルト状態)に端を発するEUの経済危機(その後ろにはポルトガル・イタリア・スペイン・アイルランドが控えてます)、アメリカの財政危機は日本などとは比較にならない位深刻です
日本の政府としての借金は1000兆円を越えた等と言われてますが、その95%は国内で回されており、外国への債務は50兆円ほどしかありません
これに対しアメリカの対外債務だけで1000兆円、国内も合わせると3000兆円にもなると言われています
どっちがヤバイか一目瞭然です
アメリカの形振り構わないTPPやFTA推進はこれが原因なのです
先日ハワイに渡った野田首相がTPPの参加国からハブられ、マレーシアの首相に「日本は条件を言う資格は無い(キリッ」等と言われてしまいましたが、アメリカの真意は貿易相手の植民地化ですから、植民地にされる側の国が何言っちゃってんの?と呆れてしまいました
日本がバブルで1人勝ちした後1人負けの状態を20年続けてる間に、世界は投機→ヘッジファンドによる通貨危機→サブプライムローンバブル→リーマンショック→ギリシャ危機と何か勝手にやらかしてくれています
日本は今まで通りこれと関わらないでガラパゴる、というのも賢い選択の様な気もします