大飯原発3号機が再稼働した。周辺道路の閉鎖や市民グループの抗議が報道された。
安全性について疑義が絶えないが、原発の安全性とは?まず、思い浮かべるのは原発の設計及び運転にかかわる安全性である。
設計の段階で、ある事故想定がなされそれに対する安全性が考慮されていること、そして、さらに安全な運転条件から逸脱した場合にその影響が緩和されるような工学的考慮がなされていることである。
加えて、第三の安全確保が必要である。
福島第一原発事故のように運転が制御できなくなるような場合の措置である。
人や環境が放射能にばく露される影響を低減・回避するための一連の災害対策である。
重要なわりには日が当たっていないと思える。
これは危機管理の問題である。
ピーター サンドマン氏(危機コミュニケーションの専門家、米国)は福島第一原発事故直後のインタビューでこう答えている(World Future Society)。
人は危機に直面すると必ず3つの質問をする。
何が起こったのか?
次に何が起こるんだ?
起こりそうにないようだけれど、最悪思っていることが起こるかもしれない?
同氏は、第一の質問は状況とともに変わるもので、第2および第3の質問がより重要であるが、日本の政府はこれに十分答えられなかったことが失敗だと加え、こう言っている。
牛乳、稲わら、飲料水、土壌、野菜などへの放射能汚染影響の予測も十分ではなかった。
結局、政府は不確実性があるにせよ事態の状況を明言することにしくじり、人々は事態は思っているより悪いと考えるようになったと。
事前に緊急事態予測・対応策が周辺の人々と共有されていれば少なくとも最悪の状況は避けられるだろう。
緊急事態の措置に対してわが国ではどうなっているのか?
ちゃんとした防災対策があるではないか!
原子力災害対策特別措置法で、原子力災害(放射性物質又は放射線が異常な水準で原子力事業所外へ放出された事態により国民の生命、身体又は財産に生ずる被害)の発生および拡大を防止し、復旧を図るため、国、原子力事業者、地方自治体の責務が明示されている。
例えば、大飯発電所のある福井県では、福井県原子力防災計画(福井県地域防災計画・原子力防災編)がある。
他の地方自治体でも同様である。
こうした防止対策は福島第一原発事故でも生かされたのだろうか?
不思議に思うのはこうした第三の安全措置がほとんど見えてこないことである。
原発の機器設計・運転上安全確保は言うまでもないが、第三の安全確保はまさに当事者にかかわる安全確保であり、安全性再考の最重要要件ではないか?
サイエンスライター 新井隆介
この記事は2012/7/10の電気新聞に掲載されたものです