12月17日に北朝鮮の指導者が亡くなった。
これを受けて野田総理大臣は危機管理センターに官邸対策室を設置したとマスコミが伝えた。
この危機管理センター、正式名称は内閣情報集約センターと云い、内閣情報調査室にある五つの部門の一部門で、大規模災害等の緊急事態における情報の収集等に関することがその職掌であるとされている。
いや、日本の危機管理体制もなかなかたいしたものだ。
ところでこの内閣情報調査室とはどういうところだろうか。
少しばかりググってみた。まず組織の人員数であるが、数年前の情報では約170人程度であった。
警察庁や公安調査庁からの出向者がおよそ3分の1程度を占めていた。
プロパーが半分に少し満たない程度で、残りは各省庁からの出向者であったという。
ここからは推測であるが、この170人が5部門に均等に振り分けられているとすれば、1部門あたり約34人である。
対策室の人員を新たに外部から招聘したという報道がないところをみれば、他部門から一時的に集まったと推定される。
また我が国の政府組織における出向者とプロパーの役割分担を考えると、今回の動向に係る実際の担当者は出向者であると推定されるので、結果としてその規模としてはかなり小さく、10人程度ではないか。
さて、一般的に出向者は数年で出向元に帰るので、如何に優秀な人員であっても実際の作業を全て内部で完遂することは難しい。
今回も外部の協力を得ているであろう。内閣情報調査室から毎年情報調査委託を受けている団体はいくつかあって、2?3億円程度の業務を受託している団体が二つ、1千万程度が一つある。
そこで受託額筆頭の団体のホームページを見たところ、最新の全世界を対象とした52ページの成果報告書を出していた。
その後、12月20日朝の報道では、政府として引き続き情報収集に努める方針が確認された、とある。さてここで、情報を収集するだけでよいのだろうかというのが筆者の疑問だ。
すなわち、情報収集だけでは何かが起きた時に対処できないのは明らかで、対処するためには幾つかの行動シナリオを準備して、そのシナリオに対処できるように手持ちの人・物・金の割当てを考えておく、というのが必要だ。
情報収集という行動は、予め準備しておいたシナリオのうち、どのシナリオに沿って事態が進展しているかということを確認して、シナリオを修正するために行なわれるべきものである。
内閣情報調査室や危機管理センター、ここから調査委託を受けている団体を眺めてみると、その設立趣旨や職掌範囲からみても、どうもシナリオが存在するように見えないし、ましてや情報収集の結果をシナリオに反映するという活動があるようにもみえない。
推定される結論は、我が国の危機管理というのは、事態を見守ることであり、シナリオから自らの行動を決定するというものではないようだ。
大震災以後の政府の対応を観察すると、確かにその通りである。
サイエンスライター 朝田培九
この記事は2011/12/27電気新聞に掲載されたものです