新エネルギーの6つの柱、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物、水力、地熱のうち、地熱に関して、関心が低い気がする。
確かに、地熱は厄介である。
地下のことは判りにくい、観光温泉や国立公園との共存等多くの社会的調整も山積する。
しかし、それ故に、地熱利用は今、日本が最優先に取り組むべき課題にも思われる。
今ほど、地下の問題がクローズアップされている時代はない、放射性廃棄物の地中廃棄にしろ、炭酸ガスの地下貯留にせよ、日本中の地下の構造把握、評価が行われなければ、日本の明日のエネルギーは行き場を失う。
原子力廃棄物と温暖化ガスと地熱利用という三点セットでの日本国土の地下利用を俯瞰し、100年先をみた、利用計画を作成すべきではないだろうか。
乱暴な発想ではあるが、深部地熱発電で蒸気・熱水利用し、自噴が止まったら、炭酸ガスを吹き込んで更に蒸気・熱水を取り出し、いよいよ何も出なくなって安定したら、放射性廃棄物を埋設処分する。
絵空事である。
しかし、それ位の大胆な発想、長期ビジョンが今、必要とされているのではないだろうか。
いずれにせよ地球の内部構造は静的なものではないので、地下を利用するなら半永久的にモニタリングし続けなければならないだろう。
どうせ、やるなら総合的横断的な放射性廃棄物にもCCSにも地熱にも使える地下調査をお願い致したい。
それにしても、日本のエネルギー業界は地熱に冷たい、ニュージーランドでは地熱発電設備を日本から輸入しているという。
その日本では、新規の大型地熱発電所の計画を聞かない。
バイナリーサイクルも含めて、地熱発電を見直すべきではないだろうか。
日本中何処でも深部地熱はあるという、東京のお台場に温泉が出るのだから、火力発電所のある海岸でも掘れば温泉がでるだろう。
少量の温泉でもボイラの給水加熱に使えれば、燃料節約につながり温暖化ガス削減に寄与する。
あるいは、ヒートポンプでの高熱利用も可能かもしれない。温泉の地域利用で地元に貢献できるかもしれない。
もちろん、そんなに簡単ではない。
しかし、もう一度、日本独自の地下資源である地熱に注目すべきではないだろうか。
日本各地にある地熱発電所もがんばっている。
地熱発電は大変である。地熱発電技術の継承は更に大変である。
しかし、日本の地熱発電技術は輸出できる世界のトップクラスにある。
この技術を、この技術者を、枯渇させてはならないし、維持向上するのが国家の大計ではないだろうか。
地熱発電所の近くで、地熱に感謝しつつゆっくり温泉に浸かりたい。
サイエンスライター 古井 サブロウ
この記事は2007/12/18の電気新聞に掲載されたものです