合資源エネルギー調査会・新エネルギー部会「グリーン・エネルギー利用拡大小委員会 報告書(案)」を見て感じた。
「グリーン・エネルギー利用拡大に向けて」と謳った小委員会であるから、当然、グリーンエネルギーの普及促進を狙った施策を報告するものと思ったが、中身を見ると随分と官に気兼ねした内容だと思えてならなかった。
驚いたことに、個々の住宅用太陽光発電について、グリーン電力証書発行対象とみなさないという。その理由は、「規模が小さいから、手続きコストがかかり、現在グリーン電力証書が活用されていない。
と言って、住宅用太陽光発電だけ要件緩和するのは適当で無いので、今後の仕組み作りに期待したい。国も支援すべきである。」
これが洞爺湖サミット直前の報告であり、京都議定書約束期間突入後の報告である。
これで新エネルギーが普及拡大するのであろうか。
遂に、2007年の世界の太陽電池生産量は、欧州が日本を抜き世界一位になったという。
太陽電池は日本の独壇場だったはずである。
あっという間に2位になり、中国にも追い上げられているという。
欧州でも特にドイツが最も大きな伸びを示し、全世界の生産量の半分を占めるという。
ドイツでは、フィード・イン・タリフ(ドイツが導入した太陽光発電・電力買取制度、電力会社が太陽光電力を在来電力より割高な価格で買取る制度、買取保証20年間)によって、ドイツ国内の太陽電池設置数は世界1位とのことである。
当然、雇用も増大し、経済効果も生まれ、景気も良くなり、環境と経済の両立が見込まれる。
まさしく政策好況である。
片や日本の施策は、まさしく、石橋をたたいて渡らずの状態で、重箱の隅を突っつき、手続き重視の事務局案に、激論を交わすでもなく時間切れの審議完了でお茶を濁す委員会ならば、いわゆる政策不況を招きかねないのではなかろうか。
そもそもグリーン電力証書活用システムは、新エネルギーの普及促進策であり、従来通りの仕組みでは遅々としている普及を、新たに促進させる仕組み作りであるべきで、既往の仕組みの中での普及後の証書乱用規制を主眼に置くべきではないと思うのだが。
本小委員会は、従来の仕組みや枠に捉われて、少々の不公平感や証書の精度を無視出来ないようである。
温暖化対策が喫緊の課題であり、「少々の不公平や誤差は無視して、大胆な手続き簡略化を実施し、1ワットでも多く新エネルギーを普及させなければならない」というのが、今、我が国がとるべき現実的対応ではなかろうか。
原子力が止まり、石油も石炭も高止まりで、今年の夏は冷夏であれと、梅雨空に祈りつつ。
サイエンスライター 古井 サブロウ
この記事は2008/6/17の電気新聞に掲載されたものです