北京で「緑色経済(グリーンエコノミー)と気候変化(5月7日~9日)」に関する国際会議が開催された。
主催者は2009年に設立されたシンクタンク、中国国際経済交流中心(CCIEE) である。
グリーンエコノミーを目指す中国国内の気候変化への対処と今後の国際社会に向けた中国の姿勢を十分にアピールする会議であった。
会議場にはスポンサーである中国の五大電力会社の一つ華能集団が低炭素社会に向けた技術の展示があった。
CCS(CO2回収・貯留)付IGCC(石炭ガス化複合発電)システム、アミン吸収液による石炭燃焼排ガスからのCO2回収装置、高温ガス化炉のシステム及び循環経済志向型微粉炭火力発電所であり、いずれも先端技術である。
IGCCでは250MW級の華能天津IGCC発電所が昨年、着工した。
次期はスケールアップとCO2回収貯留に進む。2009年、上海で開催された「IGCCポリジェネレーション(発電、水素、化学品及び燃料)」では15以上のIGCCプロジェクトの紹介が行われている。
アミン吸収液によるCO2回収装置は3000 トンCO2/年規模の実証試験が華能北京発電所(コジェネ)で実施され、将来CO2回収規模10万トン/年の商用機を上海石洞口第二発電所に設置する計画である。
高温ガス炉は10MW級の実証炉(HTR-10)が2000年に建設完了し、2003年に電力網へ連結し、72時間連続運転を行った。
2013年完成を目指してスケールアップした実証発電プラントを準備中である。
微粉炭火力では、1000MW超々臨界圧ボイラが自動制御システムを含め国産化されている。
また、太陽光発電の設置容量は2020年には20,000MWになると期待されている。
風力発電では2009年の設置容量は25,000MWであり、世界最大である。
2020年には120,000~150,000MW規模の容量が計画されている。
技術開発は複雑なプロセスであり、ここで示したいくつかの例が中国のエネルギー生産技術の現状というつもりはない。
しかし、約10%の経済成長率が技術開発・導入・普及におよぼす効果は計りしれない。
雑駁過ぎるが、中国では先進国から取りいれた技術的を用い、スターティングポイントが高いところから出発でき、強いリーダーシップと早い意志決定の下で人・モノ・金が集中的に投下される。
会議中の講演では、中国の火力発電プラントの効率はすでに米国を抜いたとの発言もあった。
わが国が優れた技術を持っていると自負していても、技術落差はいずれ解消する。畢竟、時間の問題といわざるを得ない。
サイエンスライター 新井隆介
この記事は2010/5/25の電気新聞に掲載されたものです