「エコ」ばやりである。
エコクッキング、エコバッグ、エコグッズ、エコマンガ、エコアイデア、エコサイクル、エコ・ビレッジ、地球エコ、エコ家電、エコカー、エコライフ。
さらに、エコテロリズム(米国FBIホームページ参照)。
その意味、自然と親しむ、環境に優しい、二酸化炭素の排出が少ない、省エネルギー、リサイクル、ゴミが少ないなどなどである。
こうした「エコ」が最近では、国の制度として大いに景気対応に役立ってもいる。
ご存じエコポイントが地球温暖化対策の推進や経済の活性化のために導入された。
グリーン家電製品(リスト化されている)を購入すると、いろいろな商品やサービスと交換できる重宝なモノである。
車にも、エコカー減税や補助金が導入された。
家電製品・車とも購入が促進され、売行きは好調である。
要するに、景気向上のみならず、モノ(物質)のフローが増加するのである。
本家本元のエコは、周知のように「エコシステム(生態系)」、「エコロジー(生態学)」、「エコロジカル(生態学的)」などの「エコ」から来ている。
エコロジカルであるということは、物質とエネルギーのサイクルが無駄無く(熱力学でいるエネルギーのルールに従って)構成されていることである。
すべては太陽のエネルギーに起源する。
植物(第一次生産者)が、光合成で大気中の二酸化炭素と水から自分の体をつくる。
これを草食動物や肉食動物(消費者)が食べ、食物連鎖を構成する。
消費者が使わなかったもの(食べられなかったものや未消化のもの)は、ミミズやアリなどの分解者が元にもどしてくれる。
土に生まれ土に帰り、また土に生まれるサイクルである。
生物界においては物質(食物)のサイクルは、イコール、エネルギーのサイクルにもなっている。
人はこれに似せて疑似的エコシステムを発明した。
肥料を施したくさんのトウモロコシ(第一次生産者)を生産し、これを飼料に集約的に豚・牛(消費者)を自分たち(消費者)のために生産する。
しかし、疑似的エコシステでは、生産物は機械化された輸送システムで運ばれたり、自然のサイクル以外から物質・エネルギー(化石燃料や原材料)を調達・投入し、自然のサイクルに受容されないハミダシモノが廃棄・蓄積される。
エコポイント活用やエコカー減税・補助金は、物流を促進し、短期に景気を活性化するのには効果的である。
一方、持続可能な社会構築という長期目的、すなわち、人間社会の物質フローおよびエネルギーフローを最小化すること、に貢献するかは疑問である。
持続可能な社会は文脈の中に、人間生活の死活的重要性も内包する。
「エコ」に対してもっと心の緊張が必要ではなかろうか?
サイエンスライター 新井隆介
この記事は2009/7/28の電気新聞に掲載されたものです