第15回気候変動枠組条約締約国会議がコペンハーゲンで7日に開催され、18日に終了した。
コペンハーゲン市長は、当初会議が「Hopenhagen」となって希望の実現に向かうことを参加者に呼びかけた。しかし、結果はそうはならなかったようだ。
1997年に合意された京都議定書は先進国の温室効果ガスの数値目標や京都メカニズム(排出量取引、CDM(クリーン開発メカニズム)/JI(共同実施)がその柱になっている。
しかし、先進国で数値目標が十分達成できる見込みの国は少ない。
数値目標は公平性を欠いている。
その例として、前麻生内閣が過去に、2020年までに温室効果ガスの10%削減をコミットした折、温室効果ガス削減の限界費用の公平性を深く考慮したことからもわかる。
また、排出量取引は排出削減の実効性が疑問視され、CDMは数々の問題を孕みリフォームの必要性が指摘されている。
不公平な削減目標と、その達成を市場メカニズムに過度に期待する京都議定書では実質的な温室効果ガスの削減は実現不可能に思われる。
加えて、世界の半分以上の温室効果ガスを排出している中国・米国・インドは京都議定書の埒外(らちがい)なのである。
では実効性ある削減はどうしたらか可能なのか?
共通であるが差異ある責任をあくまで主張する中国やインドを説得できるどんな合意が可能だろうか?
排出量取引やCDMは、市場形成によって低炭素思考型技術の普及や革新を間接的に促すことを目的であろうが、現実には、その目的は希薄になり金融取引市場化しているのではなかろうか?
排出量取引やCDMといった政策と削減のキイとなる技術オプションをバランスさせることが必要である。
直接に技術移転(技術の普及や革新)を可能にする新たな国際的しくみを築くことが必要である。
京都議定書の合意からは、すでに12年が経過し、当時の化石燃料の排出量は現在、先進国が45%、発展途上国は55%とはるかに上回り、当時の様相とははるかに異なっている。
いまや、国際的経済市場も一変した。 そこでの中国やインドの市場における役割や能力なども大きく変化した。
状況を正しく捉えなおし、過去にとらわれない将来を見据えた視点で技術移転の国際的しくみを考えていくことが、温室効果ガスのグローバルな規模での実質的削減につながる第一歩であろう。
サイエンスライター 新井隆介
この記事は2009/12/22の電気新聞に掲載されたものです