北京オリンピックも無事に終わり、改めて中国の凄さ、異質さを感じた。
開会式のGC画像放映、少女歌手の口パク問題、抗議行動の完全封印等批判も多かったように思えるが、学ぶべきものも多いのではなかろうか。
その一つに、降雨調整技術がある。開会式の前日から西に20kmも離れた地点で、のべ千数百発の人工降雨ロケットを打ち上げたという。
ロケットにはヨウ化銀等の化学物質が搭載され、この物質を空中散布することで、雨の核を作って、人工降雨を発生させるという。
ヨウ化銀等の空中散布による環境影響・健康影響は多分ゼロではない。
何となく、自然に手を加えて、雨を人工的に降らせたり、降らせなかったりすることに、雨にいろいろと感情移入している日本人として違和感を持ちたくなる。
しかし、雨に限らず、我々は相当の人工気候を作り出している。
道路を舗装するのも、ビルを建てたり、海岸を埋め立てたりするのも、局所的な環境を変化させ、周辺気候を変化させる。
もちろん、気候を変えようとして、人工物を作ったり、水の浸透や蒸散を抑制した訳ではないが、結果として、人工気候を作り続けている。
中国の人為的な降雨に違和感を持ち、ビルの間を抜ける風を自然と感じるのは少々矛盾するかもしれない。
一方、今夏の集中豪雨被害は甚大である。
特に貴重な人命も失われ、その悲劇が一度ですまず度重なったことに、やりどころのない憤りを感じる。
集中豪雨による災害は天災には違いないが、何とか軽減できないものか。中国式人工降雨技術によって、集中豪雨を、事前に一部降水させることが出来れば、集中豪雨を軽減出来るのではないだろうか。
雷雲が発達する前に、或いは発達途中で、降水させることで、雷被害や雷雨による豪雨を軽減できないだろうか。
人工降雨技術を防災技術として応用できないだろうか。
砂防ダムや治水工事はリードタイムが長く、その効果も現在の気象変動に追い付けない場合もある。
片やレーダー技術も発達し、降雨予測も長足の進歩を遂げている。ロケット技術も日本に無い訳ではないだろう。
日本式の更に高性能かつ高効率で環境にやさしい人工降雨技術を早急に確立し、集中豪雨による被害軽減に努めるべきではないか。
電力会社にとっても、雷雲規模縮小は、送配電被害縮小につながるもので、積極支援すべき対策と思われる。産官学共同技術開発で、日本式人工降雨技術の防災応用の早期実現を祈願する。
多くの集中豪雨犠牲者の冥福を祈りつつ。
サイエンスライター 古井 サブロウ
この記事は2008/9/16の電気新聞に掲載されたものです