ある会議で省エネ行動として、電球型蛍光灯に取り換えることが良いのか悪いのかの議論が行われた。
例題として、居間の60Wの電球10個の照明について、1個500円の電球型蛍光灯に全部とりかえることの是非である。
省エネの専門家は直ぐにでも取り換えることを勧め、生活者からは、球が切れてから換えるべきであるとの発言がなされた。
費用の面からは5000円の出費をすることになる。
しかし電気代は約1/5になる。一日8時間つけるとすると、電球だと4.8kWh/日であるのが0.96kWh/日になる。
仮に電気代を23円/kWhとすると、1日当たり88円の差が生まれ、初期投資分の5000円は57日、約2か月で償却できてしまう。
さて、それでは環境負荷はどうであろうか、特に地球温暖化の面からは何が言えるのであろうか。
従来から使われている環境家計簿は、消費電力から温暖化ガスの量を計算するものであり、当然、電球型蛍光灯に軍配が上がる。
でも電球型蛍光灯を造り運搬し販売店で売るまでに、当然エネルギーを使い温室効果ガスを出しているはずで、それを計算に入れなければ議論の答えは出てこない。
そこで何か良いツールはないかと探していたところ、電力中央研究所が開発した「エコット家計簿」なるものが本紙に紹介されていた。
早速取り寄せてみると、電気やガスなどの直接分も、野菜や肉や家電製品購入などの間接分も含めて、温室効果ガス量を計算できるようになっている。
しかもkWhなどの原単位ではなく、支払額1000円単位のCO2換算値である。
早速これを使って温室効果ガスの比較を行ってみた。
初期投資の電球型蛍光灯5000円分に相当するCO2量は11.5kgと計算され、電球と電球型蛍光灯の電気代の差分は1.37kg/日と計算された。
すなわち、温室効果ガスの面からみると8.4日で元が取れるということになる。
球が切れていなくても一日でも早く取り換えることが環境に優しいということになった。
家庭でよく議論になる省エネ製品への買い替えについても同じ計算ができる。
エコな製品を使えば確かに電気代が少なくて済み、CO2排出量が少なくてすむ。
しかし製品ができるまでの量がわからなければ本当の省エネ、省CO2にならない。
エコット家計簿について詳しく聞いてみると、産業連関表を元に作られており、いわゆるライフサイクルアセスメントの手法が使われているそうである。
もったいないという気持ちも大事ではあるが、科学的に環境負荷を評価してみることの重要さを教えてもらった。
エコット家計簿は無償で提供されているので、興味を持たれたら問い合わせることをお勧めする。
サイエンスライター 高岡章喜