洞爺湖サミットに向けて、さまざまな大臣級の国際会議が各地で開催されている。
先日、神戸で環境相のG8が開催された。この会議で「神戸3R行動計画」を取りまとめたとの報告の横に、希少金属を視野に入れて、アジアの途上国から適正処理が難しい廃棄物を日本に受け入れるとの情報があった。
今後大いなる発展を目指すアジアの国々は、人口、GDP、エネルギー需要、環境負荷などの増加が確実であり、先進国に追いつく努力を進めながら、地球環境問題への配慮が求められている。
ややもすると発展の陰で置き去りにされる廃棄物問題に対して、技術先進国の日本が協力することは、極めて重要なことである。
地球温暖化を問うときに、脱化石燃料は欠くことはできず、その筆頭が原子力発電であることに間違いない。
今後の建設と計画が集中している地域はやはりアジアであって、各国のエネルギー需要の伸びに占める比率は低いものの、原子力発電への依存なしには発展はかなわないとの認識に立っている。このため、今は計画になくても、将来的にはアジアでの原子力発電所が相当量になることが予想される。
原子力発電所に求められるのは、安全性と軍事への転用防止である。アジアにおいて急激に建設が進む原子力発電に対して、安全性を担保できる建設技術者や運転技術者はどのように確保されるであろうか。
どこで濃縮ウランを造り、使用済み燃料を核拡散に結びつかないように適切に管理するために、どんな手段と技術を活用するのであろうか、気になるところである。
わが国では、もともと原子力の平和利用を念頭に開発を進め、幸いなことに、ウラン濃縮工場や再処理工場を有することが、国際的に認知されている。それぞれの当事者も、これらのプラントが国際的信頼に足りうる形で運用されるように努力しておられる。
そこで考えてみたい。
もし原子力を利用している韓国や台湾をはじめ、原子力の建設を進めるアジアの国々が、平和利用に徹するからといって、これらのプラントの建設が国際的に承諾されるであろうかと。
かつて英米仏の協力の元で育った日本の原子力である。
前述の適正処理が難しい廃棄物と同様に、アジアの原子力技術・訓練センター、廃棄物センター、濃縮センター、再処理センターというように、地球環境にやさしくサスティナブルなアジアの将来のために役立てたらと願う。
原子力の分野も、日本がよければとか、国内事情に四苦八苦するのではなく、アジア社会にどのように協力できるかを考える時が来ている。
それが国際的に真の信頼をわが国が得る姿ではないだろうか。
サイエンスライター 高岡章喜
この記事は2008/6/24の電気新聞に掲載されたものです。