高速道路を逆走した車が大きな事故を起こしたニュースが時々流れる。
20キロメートル以上を逆走した例もあり、車を運転していた高齢者は、どこのインターチェンジから入って、どこを走っていたのか記憶がないと言う。
また、百歳の方が数ヶ月の間に2回の事故を起こし、道路交通法違反で免許停止にもかかわらず、無免許運転でつかまった話を聞いた。
その人は車しか移動手段がなく、ボケ防止に最適と言ったそうである。
これまでは、車を運転する人は必ず法律に従うもので、それぞれが守ることで交通事故が防げると考えられていたように思う。
このため、どんなに複雑な道でも急カーブでも、事故を起こした人がすべて悪者であった。
しかし、高齢化して他に交通手段のない人も同じ道を走っていると考えなければならない。
私はまだ高齢者の免許更新制度の対象ではないが、この道は片側2車線の道か、対向2車線の道か判らなくなることがある。
それは、筑波学園都市や埋め立て地帯などで経験するのだが、そこにたどり着くまでは片側一車線の狭い道で、左折や右折で急に道路が広がっている地域に入った時である。
この道路ができた当時は、対面する車線の間に植えられた樹木が小さく、対向車線を走る車や、それぞれに取り付けられた歩道が見えていたからよくわかったのかもしれない。しかし今は樹木が生長して、まったく向こう側が見えない。
対向2車線なのか、一方通行2車線なのか、中間帯付きの片側2車線なのか、やむなく、左側車線をゆっくり走って様子を見ることになる。
対向2車線でないことを祈りつつである。
私からの一つの提案がある。
通常交差点の手前には、左折、直進、右折を示す車線が矢印で示されている。
高速道路も一般の道路にも、100メートル間隔程度で、同様の矢印をペイントしてはどうであろうか。
もし、逆走していれば、矢印を見た瞬間に気がつく。
もちろん、認知症が始まっていては役立たないかもしれないが、ヒューマンエラーを防止する上では有益であろう。事故が発生して、逆送して事故を起こした人をどれだけ罰しても、ルールを守って走っている人の命は帰ってこないから。
わが国は確実に高齢化社会に向かっており、車社会ばかりでなくエネルギーを取り巻く分野でも、大きな変化が求められる時代が近づいている。
間違った人が悪いという従来の基本ルールではなく、極力間違わないように、社会システムを再構築する必要があるであろう。
電力関係者にとっても他山の石とできる面が多々あるように思う。
サイエンスライター 高岡章喜
この記事は2008/5/20の電気新聞に掲載されたものです。