国際エネルギー機関(IEA)が「世界のエネルギー見通し」(World Energy Outlook 2007)が出版された。
これによると世界のCO2排出量は2005年の266億トンから2030年には58%増しの419億トンになるとしている。
中でも、中国とインドの増加は激しく、中国が51億トンから114億トンに、インドは11億トンから33億トンに、それぞれ2倍ないし3倍になるとしている。
この結果は、中国が米国を抜いて最大の排出国になることを示唆している。
しかしながら数字の上だけでは、日本の10倍の人口のある中国が、日本の10倍のエネルギー利用とCO2排出国になるからといって、驚くことではないのかも知れない。
また、このまま続けばいつの日かインドも、2030年の中国と同様な値になるであろう。
2007年版のレポートでは、特に中国とインドに焦点を当てて議論がなされている。
これらの国々のエネルギー消費が急激に増加しており、地球温暖化を防ぐために、緊急の安定化のための対策を施さねばならないと訴えている。
その切り札として、原子力や自然エネルギー、そしてCO2の回収貯留(CCS)を含めたクリーンコールテクノロジーが重要であるとしている。
なぜなら、これらの国々では、石炭の利用拡大が顕著であり、地球温暖化に大きな影響を与えるからである。
クリーンコールテクノロジーについてわが国は、いくつかの大きな研究開発を行っている。
その一つが、いわき市でのクリーンコールパワー研究所が実証試験を行っている石炭ガス化複合発電である。
石炭をガス化して、天然ガス火力発電所のように、ガスタービンと蒸気タービンを併用する複合発電である。
発電効率からみると、従来最大でも40%程度であったものが、50%近くまで引き上げられる可能性を持っている。
これによって、地球温暖化の面から嫌われる石炭を、石油火力並のCO2排出量に引き下げられる。
石炭ガス化複合発電は、日本のお家芸的な高効率化への挑戦であり、技術的に完成した暁には、まだまだ石炭に依存して電気を作らねばならない国々にとっても、CO2の排出量を減らしながら電気をたくさん利用できることになり、地球温暖化対策として有益な技術となるであろう。
しかしながら、世界で利用する石炭は、わが国で利用している石炭に比べて質は良くない。
少しでも早く、どんな石炭でも活用できる技術へと発展していただきたいものである。
サイエンスライター 高岡章喜
この記事は2008/1/15の電気新聞に掲載されたものです。