京都議定書の第一約束期間が目前に迫ってきている。そうした中で、地球温暖化によると思われる異常気象が頻繁に起こり、南方の生物が国内でも見つかるようになってきた。


 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、三つの作業部会が第4次報告書を取りまとめた。

気候システムや気候変化の評価を行う第一部会報告書では、確実に人間活動によって気温上昇が起きていること、温度上昇で氷の溶解や海面上昇が見られること、将来の気候の予測精度は上がってきていることなどを示している。


 温暖化による生態系や社会・経済への影響や適応策を評価する第二部会報告書では、今までの人間活動がどれだけ影響を及ぼしたか、将来どんな影響を及ぼすだろうかについて、それぞれの側面からまとめている。

気候変化に対する緩和策についての評価を行う第三部会報告書では、将来の温室効果ガスの排出量と、その削減についての短期的・長期的な可能性を評価するとともに、安定化させるための経済効果や国際的な仕組みについてまとめている。


 これらの報告書に目を通すと、少しでも低い濃度で安定化させなければ大変なことになってしまうと、改めて認識させられる。しかも、安定化のためには、世界中で大幅な削減をせざるを得ず、先進国平均5%程度の京都議定書で定めた削減目標すら守れないのに、どうなるのかと心配になる。

人類が存続できるか否かの瀬戸際に立たされていると言わざるを得ない。


 温暖化を食い止めるため、世界が納得する方策を真剣に考えると同時に、温暖化をすぐに止められない現状では、多かれ少なかれ確実に進む影響への、対処方法の検討が不可欠である。

にもかかわらず、IPCCにおいても、国内においてもやっと動き出すかどうかの段階にある。


 電気事業にとっても、需要に応じた発電ができるかという問題と、需要の変化がどのように起こるかという課題がある。前者については、降雪・降雨の変化、台風による施設災害の増加、発電所の冷却水温度の上昇、海水面上昇による施設の水没、海難事故の増加による燃料調達の難しさなど、多くの課題が浮かび上がる。


 後者については、産業用・民生用の冷房需要の変化、港湾に隣接した工業地帯の移動、農業・水産業・林業などの構造変化など、計り知れない変化が予想される。

いずれの対策も、影響が出始めてから対応するのでは間に合わない。

今から想定して、できることから着実に対応していかないと、後の祭りになってしまうのではないだろうか。



サイエンスライター 高岡章喜
この記事は2007/12/25の電気新聞に掲載されたものです。