公共の施設や乗り物でバリアーフリー化が進んでいる。新しく建設される駅のホームには、必ずエレベータとエスカレータが設置されるようになった。
不自由な方々にどんなにか助かることであろうか。一方で、古い駅などは改造が行われ、今までも狭かった階段スペースがエスカレータに置き換わり、従来上下の流れにうまく利用されていた階段が、片側の流れのエスカレータになったことによる混雑が起きているところもある。
エレベータやエスカレータの事故は、利用客数から見ると発生確率は低いものの、安全性を問われるニュースが後を絶たない。
私たちは毎日のように利用する機械であるがゆえに、いつのまにか装置の安全性に疑問も持たなくなってしまっている。
しかし、人間の乗り物の中で、人が介在しないで、機械にすべてをゆだねている装置はエスカレータのほかにあるだろうか。
エスカレータに乗っていて、筆者がいつも気をつけているのは、降りた先に人貯まりができていないかである。
通勤で混雑をする駅、しかも、エスカレータを降りたところにわずかな空間しかなく、自動改札機が置かれている駅がある。
何事もなければとても快適な駅である。しかし、誰かが降り口で立ち止まったり、転んだり、乗り越しか何かで自動改札機がピンポンと鳴って、改札への流れが止まったらどうなるだろうか。
ただちに空間には人があふれ、おかまいなしに次から次へと人が送り込まれてくる。
しかし、よほどの負荷が機械にかかるか、誰かが止めない限りエスカレータは人を運びつづけていく。
ベルトコンベヤー式の生産工場は昔から多く使われている。
しかし、何かライン上でトラブルが発生して流れが滞ったときには、ラインを遅くしたり止めてあふれないように制御している。是非、人間が乗るシステムにも同様なものがついていてほしい。
つまり安全性のために、人と機械とのインターフェースが十分に取れればと思う。
機械そのものや、人とのかかわりの中で発生するトラブルを、未然に防ぐ装置の開発は急激に進んでいる。
特に安全性を重視する原子力発電所や自動車、航空機等はその代表例と言えよう。エレベータやエスカレータも毎日の暮らしに不可欠な道具であり、しかも人を運ぶ装置である。
あたりまえのように毎日使う機械であり、人が詰まったからと言って慌てて飛び降りることもできない。
“人停滞センサー”なるものが開発されて装着され、安全性が高まり安心して使えるようになってほしいものである。
サイエンスライター 高岡章喜
この記事は2007/11/20の電気新聞に掲載されたものです。