「闇堕ち」という概念は結構前から普及しているが、最初にそれに接したのは、アナキン・スカイウォーカーがダースベーダーになったくだりだったと思う。
ジェダイのホープだったアナキンが師匠のオビワンへの不満やらパドメとの恋路をジェダイの掟で禁じられたりやらパドメとその子の命を救うための葛藤やらでダークサイドに堕ちてしまうわけだが、もうひとつ印象的な闇堕ちといえば、「魔法少女まどか☆マギカ」の暁美ほむら。
TVシリーズでは何度も何度も世界線を遡ってまどかを救おうとし続けた健気なほむら。あげくまどかは円環の理を具現化する神のような存在となってしまい宇宙と一体化してしまった。
そこで最新の映画では、まどかと一緒にいたいといういたって個人的な感情からまどかが女神化するのを止めるために悪魔になってしまう。
結局、ダースベイダーもほむらも個人的な情念をある種の大義に優先したがために闇堕ちしてしまったわけである。
さて、闇堕ちで忘れてならないのは定期的にここで紹介している「麗」に出てくる、第8皇子ワン・ウク。彼はとても温厚で学問にも秀でており
、IU演じるへ・スがウクの妻の親族ということで同じ屋敷に住んでいるということから交流が始まりやがて惹かれ合う中になっていく。
初期の頃はなんとも爽やかなイケメンとして描かれているのだが、
ほぼ闇属性しかない第4皇子ワン・ソの切なすぎる孤独にへ・スがほだされてしまったり、
へ・スと婚姻しようと画策しても政治的事情で叶わず、もともと権力に関心なかったのに皇帝になればへ・スを自分のものにできると思い、陰惨な権力闘争に身を投じてしまう。
ビジュアルももはや真っ黒…
彼の場合も皇族の中でも姻戚の力があまり強くないため皇子とはいえ思うように生きられないお家の事情とヘ・スへの個人的な執着から生まれた激しい葛藤の中で闇に堕ちて行ったというなりゆきであった。
このドラマはおそらく9割くらいが闇成分なのだが、今まで見たドラマの中で光から闇への落差の巨大さはウクに勝るものは稀だろう。
そして、ごく最近見た闇堕ちで心に残ったのは「まちカドまぞく」に出てくる魔法少女千代田桃のそれ。
このお話は、主人公の魔族の末裔のシャミ子が同じ学校にいる宿敵の魔法少女桃の生き血を闇の一族のご先祖に捧げて一族の復興を遂げることをミッションとして頑張るというものなのだが、なんせシャミ子がドジでとっちらかっているもので、見るにみかねて敵のはずの桃が魔術の基礎トレに付き合ってあげたり何くれなく面倒をみてあげるというほっこりとしたストーリーなのである。
そして、この桃にも何やら心の闇があり、闇堕ちすることで元にはなかったパワーを得てシャミ子や仲間の魔法少女みかんを助けてあげることができるわけで、なんとなく闇堕ちもマイルドでいささかポジティブな印象すらある。
こんなTシャツまで売っていたりする。