typの推しつ推されつ

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カン・ハヌルの主演作「ヤダン」を観てきた。



カン・ハヌルについては以前も書いたことがあるが、



今回はシリアスとコメディの中間あたり、2枚目半の役どころだったが、なんともスリリングで痛快な作品。


ハヌルは、麻薬犯罪者から情報を引き出し捜査機関との間をとりもち司法取引を成立させる「ヤダン」と呼ばれるブローカーを演じている。


この商売が成立するくらい麻薬の市場は成熟しているということなのだが、捜査機関と犯罪組織が闘争を長く繰り広げているとお互い疲弊してくるので、捜査機関は犯人を捕まえて業績を上げたい、組織としてはトカゲの尻尾切りだけですませて本体は存続させたい、という利害が一致するところをヤダンが取り持つことで、三者ウィンウィンウィンとなる。


かくて麻薬市場は存続しそれゆえに捜査機関は仕事がなくならず、結果としていつまでたっても麻薬の被害は世に絶えないことになる。


じゃあヤダンなんかいないほうが麻薬を撲滅できるかというと、当局の取り締まりが厳しくなればなるほど市場は地下に潜り単価は上がり買い手は高負担となり薬のためならどんな犯罪にでも手を染めるようになりむしろ治安が悪化しかねない。


むしろ現実にはヤダンがゆるやかな連携や取引を可能にしていることが最悪の事態を防いでいるともいえる。


麻薬自体はメソポタミア文明からあるというし、麻薬を必要とするほど苦痛に満ちた人生を送っている人はいつでもどこでも後を絶たない。


ならば麻薬の使用をゼロにしないまでも社会全体からみて苦痛をより少なくするためにはヤダンによって手打ちにもっていくのもひとつの知恵かもしれない。


これを敷衍すると、1人の人間の中でのやりたいこととそれに対する禁止という葛藤にも自分内ヤダンによってなにかそれらを止揚できる共通善が設定されれば、ある意味中道を行くことができるような気がしてくる。


さてドラッグといえば、最近配信が始まった「メイドインコリア」。



大ヒット作「愛の不時着」でイケメン北朝鮮将校を演じたヒョンビンが、中央情報局の課長を演じているのだが、こともあろうか大統領直属の諜報機関に属する彼が韓国製覚醒剤を日本のヤクザに売って私腹を肥やし権力闘争に奮闘するお話。


そして頭のネジの外れたモーレツ検事が国家権力のヒエラルキーを無視して摘発に乗り出し死闘を繰り広げることになる。


時代背景がパク大統領の独裁政権下なので政治的に混沌とした状況であり、各々が自らの信じる「善」、すなわち情報局課長にとっては「権力」、検事にとっては「法のよる正義」の実現のためなら手段を選ばないというエゴのぶつかり合いがむしろ清々しい。


まだ始まったばかりのこの闘争にヤダンが現れるのかどうかはこれからのお楽しみである。