右手が離すは約束の黄色い砂時計だ
左手のつかむは使ったことのない青い水のハサミだ
ぶら下がった麻ロープのカーテンを切り
灯りのない天井を
月が覗いてくれるまで
コロコロと乾いた板床に
落ちた黒電話を待つ
灰まみれの空き缶で
あふれた吸い殻にしみこむ雨の雫が広がって
街は公害の逃げ道を塞いでしまう
競馬場の横を高速道路の下を
道はグルリと曲がり
退屈しのぎに駅まで這い行き
幸いかな
雨上がりの夕陽が差し込んでくるのに出逢う
あぁ
あっちの方向は西だ尾張だ
更に西に思いを馳せて膝をつく
棒っ切れを拾い上げ丸を地面に描くと穴ができる
星へと続く道らしい
踏み込んでみる勇気ある者は進め
月の覗き込む北の窓へ鏡を持ち出したら青と緑が混じり合う雲が浮かび上がり行く
おびただしき軽やかな馬の姿の薫りが東の空へ誘う
春の夜に虹に囲まれてしまえば呪文三度唱えて逃げ出せ
わずかな記憶を頼りに明日を組み立つ試みに人はどれだけの脳を注げば羽根を背中に生やすのか
リンドンデン
鐘の音が耳の奥にやっと届き始めた
ワルツを刻む鐘の音が