そうすでに手遅れだった・・・

 2~3ヶ月ぐらい前からその兆候は見られたのだ・・・
艦船の出入りによりお客様の増減が激しいのは周知の問題で・・・
それに因る減収減益は目に見えていた。

そこで米軍人以外のお客様
(店的には日本人なのだが・・・自分としてはこの表記としたい)
を確保する事を提案されていた
それに対して出来る事は店を多くの人たちに知ってもらう・・・
それが一番の課題だった・・・

開店準備中に街頭に立ち簡易ライブを行ったり
フライヤーを配布したり言い方が悪いかもしれないが
お客様をキャッチしたり・・・

確かに一見様は増えたのですが・・・
定着率は非常に良くない・・・
自分たちはその原因がわからなかったのだ
そして頼りの綱でもある米軍人に頼ってしまう・・・
その悪循環・・・
毎回プロモーションを行っても
その繰り返し・・・

このままでは米軍人が出航した場合
店は維持出来なくなる・・・
スタッフには焦りが見えるようになる
米軍人以外のお客様向けのイベントも企画した。
企画はたちどころに不評・・・
なぜだ???とみんながあたまをかしげる
毎晩のように繰り返される反省会ミーティング
改善策は出て来ない・・・
企画内容をソフトにしたりしても
あまりいい効果が出ない・・・

そしてあっという間に数ヶ月経った・・・
ふと思いついた事があり
自分は店長宛に資料を添付し送った・・・

セント パトリックディーというアイルランド系
のお祭りがアメリカ もちろん アイルランド イギリスで
行われるのだ・・・日本ではあまり馴染みのないお祭り・・・
自分的にはハロゥウィンの次に流行りそうな海外のお祭りと思っている・・・
そこで・・・店を米軍人以外にも知ってもらおうと思いいろいろな資料から
簡単な企画書を作った・・・

しかし・・・結果は・・・

そして数週間後・・・あの地震が起きた・・・
地震の起きた日もなんと営業をした・・・
幸い店には被害がなく・・・電気 水も問題なく
供給され営業の出来る状態だった・・・

その日自分はいつものようにどぶ板通りを歩き
店に向かった・・・その日はなぜか人通りが多い
それも米軍人以外の人たち そう日本人ばかり
歩いているのだ・・・
その日はご存知の通り全ての鉄道が運転を休止していて
みんな徒歩での帰宅を強いられたいたのだ・・・
自分はその日香港より帰国しまだ数時間・・・
大変な被害が東北地方に出ているなんて
あまり気にもとめていなかった・・・
あまりにも楽天的なヤツだと思われても仕方がない・・・

その日の営業はやはり店に来るのは米軍人ばかり・・・
さすがにその日街頭でフライヤーを配ったり
簡易ライブは行わなかった・・・いや行えない・・・
みんな不安入り交じった顔での営業・・・
しかし出来る事をやろう!という気合いだけは
誰よりもどこの店よりもあった・・・
一層の事避難所にしてしまおう!
なんて言葉も出るくらい...
そんな日の来店は米軍人しかいなかったが・・・
みんな心細いのか口々に死ぬかとおもった・・・
生きていてよかった・・・
生きているから乾杯しよう・・・
なんてみんなで無事を祈った?祝った?

そして数日後計画停電がはじまる・・・
計画停電中もキャンドルを灯し営業をした・・・
横須賀の街は人こそ少ないのだが・・・
平常を取り戻しつつあった・・・

このころから再度路上での集客を試みる・・・
人の絶対数が少ないからなのか
集客率は当然ながら芳しくない・・・
それでも新規のお客様が多少来ていただけた・・・
しかし長い時間留まってくれない・・・
それは店内の環境が良くないということに
他ならない事の証明でもあった・・・

自分たちはようやく気がつきはじめた・・・
どうしたらいいか・・・
自分が香港に行った時どんな店に行ったか
どんな店に行かなかったか・・・
落ち着いて考え思い出し・・・
どんな店だったか・・・

相変わらず停電は続いた・・・
どうせキャンドルを使うのなら
もっとイベント的に使うのはどう?
たとえば・・・黒魔術イベントだとか
SMイベント・・・Voodooイベント・・・
ちからいっぱいこの状況を
楽しもうと思った・・・
不謹慎と言われてもありだろうとまで
本気でおもった・・・
それこそココロの避難所なんて思った。

そして
またなんちゃって企画書店内の
環境について・・・を一晩で
言いたい事を書き並べた。

しかしその提案書を書き上げた翌日・・・
頼りの綱であった・・・米軍人は
救援活動の為に次々と出航して行った・・・
修理中の空母も大急ぎで修理を切り上げ
出航した・・・

とうぜんながら・・・

店の売り上げは激減・・・
きっと利益のストックはあったのだろうと思うが
あっという間に食いつぶしてしまったのではないだろうか・・・

そして閉店の決定・・・
最後の週は言いたい事を書き並べたなんちゃって企画書を
参考していただけたのかもしれない環境づくりがなされた・・・
皮肉な事に・・・米軍人以外のお客様が少しずつ定着しはじめた・・・
長い時間はいらっしゃらないが・・・増えたように思えた・・・

営業ラストの日はいくつかの艦船が補給休養の為に
帰ってきて・・・いままでどこに隠れていたんだ
おまえたち・・・の状態
木曜日平日にも関わらず
週末並みの来客数・・・
数字こそ少し良かったようだが・・・

そして・・・最終日の営業がおわった・・・
スタッフ達はみんな解放されたかのように
お疲れさまをいいあう・・・
自分も含めて・・・なんとなく解放された感じがあった・・・
でもそれはその日だけの事・・・

気がつくとスタッフ達がだれ彼かまわず・・・
ビールをかけはじめた・・・

しかし・・・それはどうなんだ?
そう思った瞬間自分は大声を上げ制止した・・・
何も言えなかったけど・・・
大声を出して止めるしかなかった・・・

なぜ止めたかって?
別に善人になろうとは思わないが・・・
最後まで冷静になる事が
この店へのの感謝の気持ちだと思ったからだ・・・

その帰り道店長と少し話した・・・

なんで止めたんです?の
問いかけに・・・

なんでって・・・

俺たちは負けたんだよ・・・
勝ったのではない・・・
負けたのだよ・・・
誰に負けたかって?
自分たちに・・・
何も出来なかった自分たちに負けたのだ・・・

その言葉を口にした時悔しくて 涙があふれた・・・

しかし

この涙は誰にも見せられない・・・
恥ずかしい涙・・・

まえたヤツには帰る場所はない・・・
そんな感じがした。

キャバーンの閉店の時より悔しかった・・・
何も出来なかった自分が情けなかった・・・

そして
このフレーズが思い浮かんだ・・・

The Beatles Album Abbey road Last の曲 
The Endのラストフレーズ

And in the end the love you take Is equal to the love you make

そして結局 君が受ける愛は 君がもたらす愛に等しい・・・

そんなフレーズが頭の中を巡った・・・

果たして自分はどれだけ店を愛せたのだろうか・・・


すいません。何回にもわけ そして長々と・・・
 ごめんなさい・・・自分の気持ちを吐き出すつもりで
書いたのですが・・・不快に思う方もいるとおもいます。
申し訳ありますん・・・

ありがとうございました。

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