「おまたせ」



先輩との話しが終わり、愛佳のもとへ戻ると「おかえり」と優しく微笑んでくれる。


そして「お腹空いた、早く教室戻ろ!」と無邪気な笑顔で走りながら階段を登って行く。


これも愛佳の優しさなんだろうなと思っていると、いつの間に階段を登りきったのか、上の方から急かしてくる声が聞こえてくる。


私は急いで階段を登った。


「てち遅いよ」

「そんな急がなくてもいいじゃん、
   時間まだまだあるよ」

「時間あるないの問題じゃないの!
   お腹空いたの!早く食べたいの!」

「はいはい」

「冷たいなー
   もういいもん、理佐と由依にかまってもら
   うから」


そう言うと走っても走らなくても変わらないのに走って教室へ行ってしまった。

愛佳が教室に入ったあとすぐに教室に行くとドアの所で愛佳とぶつかった。


「ッ!
   なんで突っ立ってんのさ」

「、、、」

「聞いてんの?」


どうしたんだ?

愛佳の視線の先を見ると理佐と由依の他に2人の女子がいる。

1人は垂れ目でおっとりしていてかわいい、the女の子って感じ、多分愛佳はこの子に一目惚れした。

でも、私にはその子は全然目に入らなかった。

そう、隣にいたもう1人の女の子は身長が小さくて、、、


「てち、愛佳どうしたの?」


ドアの前でずっと突っ立ってる私たちに気づいた由依が声をかけてきた。


「そんなとこ立ってないでこっちおいでよ笑」

「そうそう、紹介するね

   こっちが昨日言ったバスケ部のマネをやり
   たいって言ってた長濱ねる」

「長濱ねるです、中学からバスケ部のマネ
   やってます。高校でもやるつもりなのでよ
   ろしくお願いします。」

「で、こっちのちっちゃいのが、、」

今泉佑唯、、

「「「「え?」」」」

「あ、昨日の!」

「知り合いなの?」

「知り合いっていうか、助けて貰ったって
   いうか、、」

「てち助けたの?」

「え、いつ?」

「なんで?」

「ずーみんなんかあったの?」


由依、理佐、愛佳、長濱ねるが一気に質問してくる。

私はもちろん答える気は無い。

今泉はなんて答えていいのか分からないのか、答えたくないのか分からないけど答えられずにいる。


「なんだっていいだろ」

「なんだよてち~、照れてんのか?」

「照れてないから」

「素直になれよ~」

「愛佳さ長濱ねるにひとm「うわぁー!」」

「愛佳うるさい」

「てち何言おうとしたの?」

「なんでもないから!!!」

「愛佳に聞いてないから!」

「理佐と由依には関係ないことだから!」

「なんでよ!」



愛佳と理佐が言い合ってるあいだに今泉佑唯が話かけてきた。



あの、ありがとうございます

え、なんで?

昨日の朝助けてもらったのと、今話しそらしてくれ
    たから

あー、別に。
   っていうか、自己紹介すれば?
   愛佳は知らないわけでしょ?

うん


「愛佳、理佐うるさい
   今泉が自己紹介できないだろ」

「ごめんなさい、、」

「全然大丈夫!
   今泉佑唯です!
   歌うのと楽器が大好きですよろしくお願い
   します!」


向日葵のような笑顔で笑う今泉、
だけどなんか違和感がある。
それは具体的に何だと言われたら答えられないけど、なんかモヤッとする。


「私は志田愛佳!よろしくね!」

「平手友梨奈」

「相変わらず必要最低限しか喋らないの
   ね、、」

「ほんとだよ笑」

「あのさ、さっきの話に戻るんだけど」

「さっきの話?」

「あの、友梨奈ちゃんが愛佳ちゃんのことで
   なんか言おうとした時、私の名前出てきた
   なって」

「あー、たしかに!」

「愛佳どうして?」ニヤニヤ

「ッチ、ほんとに何でもないから気にしない
   で!

   それよりも呼び捨てでいいよ、愛佳ちゃん
   って違和感あるし
   私もねるって呼ぶから
   あと佑唯も、、あ、だからずーみんか!」

「気づくの遅。」

「てちうるさい。」

「ホントの事だろ。
   ってかお腹空いたんだけど。」

「そっかお昼まだだったね」

「てち早く食べよ!」

「うん」


お弁当を出すためにリュックを漁る。

だけど、、


「てちどうしたの?」

「お弁当ない」

「「「「「え?」」」」」

「愛佳のは?」

「え、私はあるよ」

「は?」


思わず出てしまった声が思ったより低くみんな驚いている。


「あ、ごめん、、
   私のも入れてって言わなかったっけ?」


なるべく和らげて聞いた。


「ごめん、聞いてなかった」

「そっか、じゃあ購買行ってくる」

「もう無いかも」

「え?」


買いに行こうとしたらねるにそう言われた。


「購買結構人気だから売り切れちゃうの早
   いってお姉ちゃんが言ってたの」


まじかー、ついてないな。

今日部活まで持つかな、、


「じゃあ私のあげるよ!
   今日作ってきたんだけどお腹すいてなくて
   だから食べていいよ」

「いや、申し訳ないよ」

「いいって笑
   どうせ家帰って捨てるだけだからさ」

「、、、分かった、ありがと」

「うん!」


私はありがたく頂くことにした。


「うまそ!」

「自分で作ってるの?」

「うん!」


私も愛佳の分と一緒に作ってるけど、私なんかより全然美味しそう。


「いただきます」


うま。


「どう?」


今泉は心配そうに覗いてくる。
それがおかしくて笑いそうになる。


「美味しいよ、私なんかより全然」

「ほんと!」

「うん笑」

「ッ!」

「ん?」

「いや、笑った顔可愛くて、、」

「ふーん、」


そんな会話の途中もモグモグと食べ続ける。


「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」



キーンコーンカーンコーン



ちょうど昼休み終わりのチャイムが鳴った。


「じゃあ教室戻るね」

「ばいばい」

「また部活でね」

「うん!」

「今泉」

「なに?」

「ありがとね」

「うん!」